劇場公開日 2021年12月3日

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「楽曲が全てを物語る」ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0楽曲が全てを物語る

2021年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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正直、ザ・スミスについては殆ど詳しくない。曲も馴染みがなく、ボーカルのモリッシーがかなりの曲者という事も、『イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語』を観るまで知らなかった。
その『イングランド~』は、彼がバンドを結成する前日譚だが、内向的な性格なのにやたらと女子にモテるモリッシーにイライラさせられるも、これはこれで小品な青春モノになっていた。
そして本作は、1987年のザ・スミス解散に衝撃を受けた若者達の葛藤と鬱屈を、実際に起こったというラジオ局襲撃事件をベースに描く。『イングランド~』では全く使われなかったザ・スミスの曲(もっともバンド結成前のストーリーだから、もし使われたとしてもそれはそれで矛盾しているが…)ふんだんに流れるのが、ファンとしては一番の見どころ(聴きどころ)だろう。勿論ただ闇雲に曲を流すのではなく、ちゃんと登場人物達の心情に沿った楽曲選びをしているあたり、作劇のツボを抑えている。
ストーリーとしてはいささか弱い。というか題名の元になった曲「Shoplifters of the World Unite」の歌詞が元ネタになっているので、イジワルな言い方をすれば、この曲の“映画版”と解釈されても致し方ないかも。また、メインとなる若者達にどこまで感情移入できるかによっても評価が分かれるだろうし、そもそもザ・スミスへの認識の度合いによっても変わってきそう。
キャストに関しては一言、ラジオ局DJ役のジョー・マンガニエロがイイ味出してる。

個人的にはザ・スミスの曲に触れられる良い機会となったが、「Shoplifters~」は何度もリピートしてしまうようになった。

regency