「スケールの大きい作品」ジャンヌ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
スケールの大きい作品
ジャンヌ・ダルクを描く2部作の後編にあたる本作では、ジャネットだった田舎の少女が甲冑を着てジャンヌ・ダルクとなり、やがて味方陣営から裏切られ、イングランドに捕縛される。協会の異端審問にかけられる彼女の悲劇的な運命を様式美のある映像で捉える。奔放な『ジャネット』とは異なり、荘厳さを感じさせる内容になっているが、想像力を刺激させるミニマリズムは健在。例えば、大きな岩の塊に旗を刺して城と見なしたりとか、戦闘シーンは馬術のショーのように見せるなど、ありのままを映すのではなく、観客の脳内に画面にないものを思い描かせる。映画よりも舞台劇の演出に近いが、『ジャネット』と同じくスケールの大きい聖性を感じさせることに成功させている。映画よりも舞台の方がしばしばスケールがでかく感じるのは、見せるよりも、観客の脳内に思い描かせることを大事にするから。この映画は本当にスケールが大きい。
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