「団地の魅力がでていない」雨を告げる漂流団地 eigazukiさんの映画レビュー(感想・評価)
団地の魅力がでていない
内容も設定も面白くなかった。面白くないので漂流開始直後から早送りで見た。子供時代の私にとって団地は船みたいな無機質な物体ではなく例えると大きな優しい鯨であった。人間味のある暖かい空間だったのにこの作品ではまるでお化け屋敷である。秘密基地遊びは橋の下や公園や空き地など団地以外でしてほしい。作中のキャラたちは年齢にそぐわないありえない行動をとったりして子供目線になっていないと思う。すべてのキャラクターや場面の描き方が大人目線で考えた非現実的な子供に見えリアリティに欠ける。子供はあんなにわざとらしく泣き叫ばないと思う。大人に演技指導を受けた子役の演技のようでリアリティに欠ける。懐かしい団地などのビジュアルにつられて鑑賞したが私は後悔した。
結論:タイトルに団地を入れる必要はない。
追記:
本作は聖書の創世記にでてくるノアの方舟の話を連想させる。神が大洪水をおこして世界に陸地がなくなり信心深いノアの家族だけが船で生き残る話だが本作では大海原を漂流する団地をノアの方舟にみたてている。途中の子だもたちのサバイバルの都合のよいエピソードは中途半端な感じを受ける。この作品からはノアの方舟の話どおり世界の大洪水を生き延びさえすれば過程は適当でもなんでもいい印象をうける。聖書を引用したと思われる宗教的な要素は緑が生えた人たちに理由なく助けられるエピソードにもみられる。最終的に神が助けてくれるという結果が先にあり助かる途中の過程はどうでもいい印象を受ける。子供たちが助かった理由は聖書のノアの方舟の話通りだからということだけなので薄っぺらい物語である。
漂流する団地を現代の日本に重ねて本作を見てもよいであろう。少子化高齢化国際化や産業の衰退、急速に発達している科学技術やAI、グローバル化による経済構造の変化、地球規模の気候変動の影響などの危機があるにもかかわらず娯楽にかまけ国の一体感もない現代日本の現状はまさにあてもなく漂流しているという表現がぴったりである。しかしながら若い世代はたくましく日本を生き抜いてほしいという作者の願いが本作には込められていると私は思う。