劇場公開日 2022年9月16日

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「王道の行きて帰りし物語で多感な時期の少年少女の葛藤・成長を描く至極の映画」雨を告げる漂流団地 スクラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5王道の行きて帰りし物語で多感な時期の少年少女の葛藤・成長を描く至極の映画

2022年10月6日
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取り壊し予定の団地に忍び込んだ小学生6人が団地の建物ごと海に漂流する謎の世界に飛ばされ、大海原を漂流する。そこにどこから来たか分からない”のっぽくん”と呼ばれる少年も加わり、少年少女の冒険物語が進んでいく。

あらすじから伝わってくるがっつりしたファンタジー感。
その世界観を丸ごと受け止めてこそ、この映画は楽しめると感じた。
どうして建物だけが海に浮いているのか。のっぽくんは何者なのか。謎はたくさんあるけど、描かれているのは思い出・喪失・トラウマなどをテーマにした少年少女の王道行きて帰りし物語。

ヒロインのいじけっぷり、身勝手な行動にイライラする場面もあったけど、よくよく考えてみれば、等身大の小学生がきちんと描かれている。
もし主人公たちの行動に共感できなかったら、自分の小学生の頃を思い出してみてほしい。
大人の都合に振り回されたことはないだろうか。
それを自分の責と思ってしまったことはないだろうか。
変化が怖かったことはないだろうか。
描かれているのはご都合主義のキャラクターではなく、過去の自分と重ねることができる身近な存在の少年少女たちだった。

アニメーションならではのダイナミックで煌びやかな場面描写も見ごたえあった。
劇場公開・ネトフリ配信だけど、まずは劇場で観るのをオススメしたい。

スクラ