劇場公開日 2022年1月7日

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「僕はいますか?」弟とアンドロイドと僕 xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5僕はいますか?

2022年6月4日
iPhoneアプリから投稿

昔からある映画のテーマではあるのかなぁ、と思います。
阪本順治監督も、そういう不確かさ、「存在の耐えられない軽さ」という思いを抱いておられるのでしょうか...
創作するって、自分と向き合わねばならないから、でも自分というものは変わりゆくし、そして逆にそう変われないものだし、突き詰めるほどに、わからなくなる。
物理的肉体としての自分と、見えない何かの部分の自分。心とか精神とか魂と言い換えてもいいかもしれません。

見ため的には、自分と同じアンドロイド。
見ためも性格も異なる、でも遺伝的には自分と半分同じ弟。
主人公は、アンドロイドが斬られると、痛みを感じる(これは現実にも、腕を失った人が、無い部分の腕に痛みを感じることが実際あります。)

何が自分か、という問いは、人によっては惹きつけてやまない、中毒性のある問いなのかもしれません。でもこの問いに囚われずに生きていける人にとっては、これほど愚問に感じるものもないかもしれません。
これは、『団地』も併せて観るといいのでは。自分とは、ひととき宇宙から分けられたものに過ぎない、アレもコレも、全部そう。なんじゃかんじゃ言うたところで、それだけのことじゃ。僕はいるし、いない。いないし、いる。禅です。わかりやすくは描けないでしょうが、監督はそこに挑戦したいんだなあと感じました。

xmasrose3105