茶飲友達のレビュー・感想・評価
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金庫あさって逃げた母の力強さ。孤独じゃないってすごい力だ
現代の高齢者だけでなく登場人物の孤独の形と生きる形を垣間見せながらも、時折ある、ひとときの孤独じゃなさの強さに、こんなにも人は救われるのであるということが映画として表現されていて素晴らしい昨日でした。
勘違いや騙し、金銭関係、嘘や偶然だったとしても、ひと時の孤独じゃなさはこんなにも人を変え、強くするんだなと言うことが逆に際立って見えた。特に終盤、胎児を得て初めて孤独じゃなくなった彼女はお金かき集めて生きるために逃げる。帰るとこ無くなっちゃったよ、と嘆くティーガールズたちよりも、知らぬ間にとんずらした幹部たちよりも強いのは孤独じゃないからなんだな。
違法で現代ルール外だから今回の企ては失敗してるけど、孤独じゃなさの力を知ったみなさんは多分これからもかりそめの孤独じゃなさを作ることができるし生きていけるんじゃないかなと彼ら彼女らにとってティーサロンは輝かしい価値があったと思いたい。
ルールがあるので春(?)を買った側は罰されませんので、ご安心を♥
断末魔の新興宗教団体として見るべきだ。PLAN75と同じ
『ルールがあるので春(?)を買った側は罰されませんので、ご安心を♥
こちらの店はもっと若い子いるよ』と言われて喜ぶ髭面のウマシカ爺さん!哀れですか?
付け加えて、その業者はこう言います。『ちゃんと検査と薬は飲んでますから、NSもNNも♥』
男目線の地雷映画がまた増えた。
出鱈目過ぎるお涙頂戴映画。
親の寿命で涙なんか流すものか!
そう言った稚拙な演出しかできない。
バーーーーーカ!って言ってやりたい。
特に『薄気味悪い』のは、若者の稚拙な言葉。
『我々の稼いだ金を老人が年金で全部持って行っちまう』って言う小学五年生でも分かる稚拙な言葉。この言葉こそ絶滅危惧種大和民族の終焉と思う理由だ。
なお、生殖行為をしなけりゃ違法では無い。また、生殖行為を生業にしていても、生業をする者は実行犯として罰せられるが、その組織は罰せられていない現状がある。従って、このグループは逮捕されたのだろうが、こう言った組織は星の数ほど存在する。さらに
この場合は特殊な性的な志向になるが、普通に女性は食い物にされている事を、若き物理的な女性は気がつこう。
最後に断って置く、死んでもこんな事はしたいと思わない。
高齢者売春を通して、"家族"と"社会のルール"を見る
あらすじを読んで興味本位で観てみたのですが、非常に良い作品でした!
渡辺哲さん演じるお爺さんから始まりお爺さんで終わるのが、切なくも映画として綺麗な終わり方すぎて…
ケーキを運んでみんなで写真を撮っている、あのキラキラしたシーンで終わって欲しかった…と誰しもが思いそうなラストでした。現実世界の「ルール」によって導かれたラストとも。
フィクションであっても現実世界で違法、犯罪、グレーゾーンである事を肯定する結末にしない点が、ストーリーをそのまま表しているようで好きなポイントでした。
「家族」も大きなテーマとして劇中を通して描かれていましたが、茶飲友達のオフィスや仲間内ではもしかして「家族」という言葉は使っていなかった…?ずっと「ファミリー」と言っていたような気が…
同じ意味合いながら、呼び方を通して本質的な部分の違いを表している感じがしました。
近年、血の繋がりがなくても家族になれる!というストーリーが多い中、今作では1つの出来事で「ファミリー」があっという間にバラバラになってしまう&反発しあっていても結局血縁のある「家族」が会いにくる、というラスト。
正直、最もリアリティのある物語だと感じました。
俳優さんも皆さんとても良かった。
特に松子(若葉)役の磯西真喜さん…万引きをしていた頃→茶飲友達で活動している時→ラストでの見た目の変化があまりにも凄すぎました。
メイクや服装の力だけでは無い事が素人目でも分かる…素晴らしかったです。
他人事じゃない
最後のシーン、主人公が警察に「自分の孤独を他人の孤独で埋めるんじゃない」って言葉にハッとした。
松子さんも、利用されてるとわかっていたけど誰かに必要とされたくて売春に甘んじていた。
春を売った直後、シャワーから出てきたら客が自殺してそれを放置して逃げた松子。
1人で死にたくなかったのよ、ただ生きているだけって…というのは、高齢者誰しもが思うんじゃないかな。
同時に、親に縛られた主人公(とはいえ、親の愛情表現だったと思う)や、不倫と知らずに身籠った両親のいない女子、脱サラパン屋を廃業した車中泊の親、などそれぞれ抱える孤独や無知など、フォローしてくれる親や友達がいないという問題もあるんだろうな。
高齢者や若者の孤独を、表面だけのビジネスファミリーじゃなくて、もっと違う形でファミリーにする力があったんじゃないか…煎茶だけの本当の茶飲友達から再婚とかのマッチングサービスとか。
と思うけど金銭が発生することによって自浄作用が生まれることもあるだろうし、毎回必要とされている、社会の一部になっていると感じられるんだろうな、、と考えてると、ただのマッチングサービスも足りないのかなぁ。
結局ふんわり繋がっている人間関係のセーフティネットって大切だよね、と思いきやヤバくなったらみんな手のひら返して逃げちゃうし、主人公が築いたものはなんだったのか。
色々考えさせられる作品だった。
あと、松子さんが万引きしてる最初の顔と、売春始めてからの生き生きとした顔と、ホテルから逃げて来ちゃった時のティーハウスでの顔が全部違う人に見えて女優さんってすごいなーーー!!と感心。
あとあと、松子の最初のお客さんが最初ガッついてたけど、松子が一呼吸置かせてからゆっくり接吻を始めた時に、「私はいなくならないから安心して」って言ってるようで、それをお客さんも無言で理解したように思えて、切なくなった。
受け入れてもらえる安心感はいくつになっても必要なんだな…。
茶飲だけじゃダメなのかなぁ
人生100年時代と言われる今、老人の性の問題はやはりあるんだろうなと思う。老人を騙してお金を取る女の話は今までもあったと思うが、この映画は、性そのものをテーマにした、言わばタブーに切り込んだような作品だった。
親に認められなかった女性が、寂しさからfamilyという共同体を作り、同じように寂しい若者を仲間にして、老人向け風俗を展開する。身体を売る老女もあまり悪いことと思っておらず人助けくらいな感じだ。
見ていて辛かったのは,買う側の男性の必死さだった。そんなに??って思ってしまった。
最後に捕まって取り調べを受けるのだが、この警察官の言葉が全てを語っていた。心にささる言葉だった。
最後に実母が面会に来て家族だからと言うが、あんなに嫌がってた風俗なのに,なぜ急にこんなに優しくなるのか,死にそうだったはずだけど。と,ちょっと疑問だった。
若い人が観たほうが良いかも
序盤から中盤にかけては、
①孤独な老人が救われるなら、ある程度は法律や規則に反しても仕方ない
②たとえ血のつながりはなくても心で家族のようにつながることはできる
という二つのテーマを軸に進んで行きます。
色々と問題がありながらも、すべてが上手く行きそうになったところで終盤になるのですが、そこでこの作品は何を思ったのか、終盤からラストにかけて今まで積み上げてきた話を全部ひっくり返してしまいます。
そして、最終的には
①たとえ孤独な老人が救われようとも、法律や規則に反するのは絶対駄目
②どんなに心でつながっていても所詮は赤の他人で簡単に裏切られる、最後に頼れるのは血のつながった家族
というかたちで終わってしまいます。
感想としては、中盤までは興味深く観れましたが、最終的に孤独な年寄りには救いがなく、また人と人とのつながりを否定するような終わらせ方にした監督の意図が理解できず、とても残念に思いました。
私の勝手な想像ですが、作り手としては、あのままハッピーエンドにしたら売春を肯定している作品と思われるのを恐れたのではないでしょうか?だとしたら、例えばの話ですが、「主人公が身代わりになって単独犯として捕まり、売春組織は無くなってしまうけど、組織にいた人達のつながりは守られ、皆で新たに法に触れない別な商売を始める」とかにした方が観客はスッキリしたのではないでしょうか?
作品の評価という点では、役者さんは皆さん頑張っていたと思いますが、私は否定だけしておいて、救いを描かない作品は好みではないので評価を3としました。
追記>
お年寄りが観ても救われることはないので、むしろ若い人が観た方が、お年寄りに対する接し方や自分がどう歳を取って行くかを考えるきっかけとなるのではと思います。あと、お年寄りのベッドシーンはあんなに多くなくても、他にも演出の方法はあるだろうと思いました。
生々しくて重くて虚しいけど何も無いよりは良い
扱っているテーマからどうしても観ておきたかったのですが、地元では既に上映が終わっており、今回は早朝アラームからの〜2つ隣の県まで遠征鑑賞しに行きました🚊
カルチャースクールや消費生活センターなども入るその小さな商業ビルの他は特に目ぼしいものが何も無さそうな町の駅へと降り立ち、真面目に検温カメラや手消毒をされる(時間帯&扱ってる題材からか)ほぼシニアな他の皆さんに、そのうちシニアになる不真面目な私も混じって小シアタールームの中へとお邪魔しました。
観ていてちょっと小恥ずかしいシーンなどで気持ちをふっと外した時に、呉越同舟(?別に仲が悪い訳ではないケド)で観ている他の👥シニア男女の方々👥は今どのように感じておられるのかなとたまに気になったりしつつ、👆🏼タイトル通りな物語の推移を見守る。
若葉さん役の俳優さんで一回り上か〜
💁🏻♂️いつかゆく道…
立場が悪くなったら若葉さんもハスキーヴォイスの子も最後にダメンタル発奮したなぁ〜
🤦🏻♂️金銭的に困窮すれば誰だって‥
互いのちょっとしたボタンの掛け違いでいちいち問題が重(or ややこし)くなる。面倒臭せぇな〜人間って奴ぁ〜🤷🏻♂️≺小知デ~ス)
命を繋ぐお金が稼げれば取りあえず正義だという考えも解るし、最後にどこか森三中を思い出させる女検察官にこき下ろされてたけれど、今回のお話に関しては❶風営法の届け出を出さずに❷ヘルス行為から逸脱した本番行為をしていたことが問題か❓🤔
あと公序良俗に反する場所を使用したこと。
死体遺棄の件は、相手の立場と自らの過去が同調し気持ちを汲んで刑法のルールから逸れてしまったと。でも放置して逃げたらアカンね。
お互いに命の燈❤️🔥を持て余してて利害が一致するなら、擬似家族だろうが何だろうが、お上にしょっ引かれないようにやれば良いじゃない? 弁護士?センセは何故に闇営業で続行させてたの⁉️
家族の定義は何かと自問したら🤔、取りあえず結局は放って置けない相手ということか。
タイトルに虚しいと書いたけれど、虚しいのと虚しくないのとの違いってなんだろ❓🤔
その場限りの付き合いか、今後、多少の事があっても別れませんという気になり、その時は一定期間(望むべくは一生涯)を帯同する契りを交わしたり、そんな相手と子を儲けたりするかの違い?
そもそもこの世の何もかもが浮世の儚い出来事なのだけれどね。
∴尚更その場限りの相手にでも思い遣る心を持って接したい。理想はレジ係の人にも😌
これから現実的に起こりそうな話
本当にありそうな話。
若者達は色々抱えながらも楽しそうなサークル活動の様に、年寄り達は自分が必要とされていると半分言い聞かせながら、それぞれの立場で違法行為を明るくしている。
若者達は日本の未来のためとか大きく堂々と言葉に出して顧客を掴んでいくが、蓋を開ければそこは非常にローカルで自分本位であり、言葉に酔ってるところに気づいていないのが現代的。それは最後にちゃんと表されており、いざとなったら自分の事だけ考えて関係無いと言い張ったり、金を金庫から奪って逃げていく。
主人公は最後まで年寄に寄り添おうとするが年寄りからは拒絶される。
この映画の登場人物は(お客である男性も含めて)誰もが誰かから必要とされたり認められたいという気持ちがあるが、それを他人への無意識的なマウンティングで満たそうとしてる様に感じそこが現実的。
ただこういう産業はこれから本当にニーズはありそう。
心のパンツを脱ぎ捨てて
非常にリアルで、散りばめられた問題ひとつひとつが身につまされる作品でした。
何より岡本玲の演技が素晴らしい。
“ファミリー”の前、一人のとき、家族と接する際と全然違う顔を、地続きとして成り立たせている。
『茶飲友達』への勧誘も、ビジネス的とも福祉的とも、宗教的とも取れる匙加減で絶妙です。
脇を固める面々も地に足のついた自然な演技で、身近に感じる。
パン屋の息子が好きでした。
ただ、ラストが急転直下すぎたのは少し残念。
松子がいきなり虚無の表情に戻り、「出会わなければよかった」と…
それまでの態度と、自分の中ではうまく繋がりませんでした。
逆に千佳や自殺した男性は、一貫して自分勝手さが滲んでいたので、(嫌いですが)実在感アリ。
お祝いのシーン(マナのくしゃっとした笑顔が印象的)からラストのギャップはエグい。
摘発のニュースも、他のものに紛れさせることで特別にしない姿勢が好ましい。
どちらが正義と一概に言えない問題を、誠実に扱っていたように思います。
まぁ、サスガにあそこまで的確にズバズバ言ってくる刑事もいないだろうけど。笑
群像劇として、周りのオチをもう少し描いてくれればなぁ、と思わないでもない。
割烹着のオプションは面白かった。
もっと若いのが
「人生100年時代」
恐ろしい時代です。
良くも悪くも長生きするいま
必ずしもそれが「良」とはならない現実が
この作品にはギュッと詰まってる気がしました。
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孤独に苛まれ、生きる活力が見いだせない
そんな思いで過ごしている人は
きっと老若男女問わなくて
そしてそんな人たちは、
ただ人と人との繋がりを感じたい。
人の温もりを感じたい(性的な意味ではなく)
それだけで十分な人も多かったのではないかと
言う気がします。
綺麗事でしょうか(苦笑)
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多くの人にとって他人事ではない「老」
貧困に喘ぐ若者と老人
いつまでも目を背けてはいられないそんな作品。
いそいそとおめかしをする男
大切に切り取っておいた新聞の広告を手に取り
電話をかけるも
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
受話器を落とし、膝から崩れ落ちる男の絶望感、悲壮感が
なんとも言えません。
「承知です」
なかなかきつく、居たたまれないストーリーと画作りであり、現実に起こり得る内容である
自分もそうだが、何故人は寂しいのか、そしてそれが年齢を重ねる毎に加速されていくのか、『人生100年』なんてそんな悪夢をよくもキャッチフレーズにしてしまうこの世に恨めしさしか思い浮かばない
そんな寂しさの中の人間達を冷徹に撮り続ける目線が本当に痛々しい
ただし、構成的に間延びしてしまった感が窺える もう少しコンパクトに仕上げてもよかったのではないだろうか?
妊娠の件、パン屋の件は、差込む事で重層感を演出したかったのは理解出来る ならば、あの家のファミリー感を演出するシークエンスはしつこくなってしまったのではないだろうか ラストの母との対面も、残念ながら違和感を禁じ得ない
なんだか、否定的感想が続いてしまったが、着想や妙齢の方のベッドシーンの連続はチャレンジングで大変素晴らしく、今後の超高齢時代の未来を描いてみせた先進的作品として称賛を送りたい
【”砂上の楼閣上の新たなる高齢者セーフティネットと疑似ファミリー。”今作は、老人の生と性と死を軸に描きながら、人間の孤独や家族の本質について、観る側に問いかけてくる作品なのである。
ー 高齢者専門の売春クラブ”茶飲友達”を営む佐々木マナ(岡本玲)は、厳しき実母とは反りが合わず、家を出て売春をした後に、”茶飲友達”を立ち上げる。
独りで寂しき想いを抱える老人を対象にし、クラブを運営するマナ。そして、町でも高齢者には優しい。クラブの運営者達や、”ティー・ガールズ”と呼ばれるコールガールも彼女を頼りにしている。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・当初から違和感を感じていたのは、マナが”茶飲友達”では優しく微笑んでいるのに、独りになると虚ろな表情をしている所であった。
・マナは、スーパーで死んだような目でボサボサの頭の老女松子が半額のおにぎりを盗もうとした際に、咄嗟に彼女を庇う。そして、彼女を”茶飲友達”の”ティー・ガールズ”として迎える。
ー この彼女の行為は、後半、彼女が病に倒れた実母に涙を流しながら言った”一度でも、頭を撫でた事がある?””褒めたことが有る?”と言う彼女自身の母に愛されない寂しき人生の代償行動であろう。ー
・そして、松子はクラブの売れっ子になって行く。男性と肌を重ねるうちに、ドンドン綺麗になって行く松子の姿。
ー 70代の老人の7割が性欲があると語られる。-
・又、妻を亡くした男や他の初老の男も松子と抱き合う事で、生の実感を得て行く姿。
ー だが、一人の男が松子がシャワーを浴びている間に首を吊る。松子はそれに気づいていても止めない・・。問い詰めるマナに彼女が言った”貴女には分からないわよ・・。一人では死にたくなかったのよ。”
そして、全てがここから瓦解して行くのである。-
・警察が介入する前、”茶飲友達”のスタッフや”ティー・ガールズ”は逃亡。相手に認知してもらえない妊娠をした女性スタッフも金庫の金を全て持ち逃げする。
ー 残ったのは、松子とマナ。そして、松子が言った言葉”貴女になんか、会うんじゃなかった・・。”マナの自分の寂しさを癒すために造った”ファミリー”はアッサリと崩壊するのである。-
■警察の取調室で、マナは女性警官に”ルールに捕らわれない正義がある”と主張するが、”ルールはルール”と相手にもして貰えない。
マナの方に心が行っていたので、”そーいう杓子定規な対応をしているから、高年齢化社会の現状は変わらないんだよ。!”と内心思う。
そして、面会者が来る。マナの実母である。実母が言った言葉。”家族でしょ。”
物凄い、シニカルな展開である。
<劇中、”自分の孤独を他人の孤独で埋めるな!”という台詞があるが、マナの行為が正にそれである。
けれど、きっと、マナは本当に孤独な老人たちに生の喜びを与えたかったのだと思う。
だが、法を犯した報いは大きい。
マナたちが新たな客層として目を付けた老人ホームの男性達はホームを追い出されると、婦人警官は素っ気なく言うのである。
今作は、老人の生と性と死を軸に描きながら、人間の孤独や家族の関係性について、観る側に問いかけてくる作品なのである。>
<2023年4月16日 刈谷日劇にて鑑賞>
妻に先立たれ、古家でのひとり暮らしの70代の男性(渡辺哲)。 侘し...
妻に先立たれ、古家でのひとり暮らしの70代の男性(渡辺哲)。
侘しく寂しい毎日の中、大手新聞社の三行広告で「茶飲友達、募集。」と見つけた。
電話をして、相手方指定の喫茶店へ赴くと、小綺麗な初老の女性の横に、30歳前くらいの若い女性(役名、マキ。岡本玲扮演)が付き添い、若い女性のほうから会の説明を受ける。
マキが言うには、喫茶店などで世間話をする煎茶コースと、それ以上の大人の関係をつくる玉露コースのふたつがあるらしい。
男は、なにやら微妙な期待を含めて、玉露コースを選ぶ・・・
といったところからはじまる物語で、「茶飲友達(ティー・フレンド)」という会は、高齢者向けの性的サービスを斡旋する会なのだ。
映画はその後、ひとり暮らしで、スーパーで半額シールの貼ったおにぎりを万引きするぐらいまで精神的に追い込まれた初老の松子(磯西真喜)とマキの物語が中心となっていくのだけれど、その間にも茶飲友達の婦人たちや運営側の若いひとびとの様子も描いていきます。
実際にあった事件に着想を得てつくられているらしいが、会を運営する側を若い世代にしたことで、映画的な多層性が出、面白みが増しました。
特に、妻子ある男性と交際し、妊娠してしまう千佳(海沼未羽)の、母親になる決意はあるものの経済的に困窮して行き場がなくなってしまうエピソードが痛々しく、会が摘発される寸前に売上金を持ち逃げしてしまう顛末は、やるせない。
その他、脱サラしてパン屋を開業し廃業した父親を持つ送迎担当の青年の、ホームレスとなった父親やパチンコ依存の茶飲友達婦人との間で板挟みになるエピソードも印象深いです。
会を立ち上げたマキが事あるごとに「ファミリー」と口走るのは、老年世代から若年世代へと脈々と受け継がれてきた「家族幻想」「家族という呪縛」なのだが、そんな幻想や呪縛にでも縋るしかないあたりが、いまの日本の現実なのかもしれません。
観終わって脳裏に浮かんだのは、年初に公開された『ファミリア』。
本作の方が「ファミリア」のタイトルが相応しい。
また、『夜明けまでバス停で』も想起しましたが、希望を感じた『バス停』と比べると、やるせなざが残ります。
なにせ、映画のラストでは、冒頭の初老男性が崩折れますからね。
茶柱勃ったらスタートです。
アナログの広告、新聞に掲載する「茶飲友達募集」、実態は高齢者売春倶楽部の会員を集める為の広告だった。
売春倶楽部と知らずに電話する高齢男性達と倶楽部で働く高齢女性、経営者(マナ)の家族の話。
コースには煎茶コース、玉露コースが選べる。煎茶だとお茶しながらの会話、玉露だとそれ以上のサービスがある。
とりあえず会員1000人を目標に頑張るマナと倶楽部で働く男女、目標の1000人へ達成した時に問題が!
万引き、自殺と人生諦めてた若葉(源氏名)、倶楽部で働き始めてすぐに店のナンバー3。
客の一人がコースの時間中に自殺。
自殺した客を放置し帰ってきてしまって問題に。
倶楽部も摘発されて経営者マナも警察に捕まるんだけど、マナ演じる岡本玲さんの捕まる前と捕まった後の演技のギャップが凄いな!っていう率直な感想。
岡本玲さんって全然メディアで見る事ないけどもっと露出してもいいのでは?と思った。
キレイだし演技も捕まった後の警察に怒鳴るシーンも迫真の演技!
あと気になったのが「承知で~す」っていうワードを使うティーフレンドの人達、聞き慣れない為か、面白いのと、何かキモい!という絶妙な感じ(笑)
あと個人的な意見だけど年齢関係なく男が好き、女が好きって、自分を輝かせる為にも必要な事よね!と思う。
実際こういう人のほうがカッコいい、キレイな人が多いのも事実。
評価は3.5だけど飽きずに面白かったです!
売春防止法逸脱に気をつけよう
高齢者の性を取り上げた作品として、『百合祭』『雪子さんの足音』が思い出されるが、それらが当事者間の秘め事として進められるのに対して、本作は、若者たちが組織的に運営し、孤独な高齢者を「再生」させながら、誰も食い物にされていないようにみえ、悪いところをみつけるのは難しそうに感じた。リーダーの実家の母との葛藤に、社会常識との遊離がみえ始め、外部露見に到る道筋と破綻してなお存在意義を強調するところは、『万引き家族』の末路に似たところがある。高齢者の生き甲斐を回復し、絆を強めることは、確かに現代的意義のあることだが、売春防止法を逸脱しない範囲内でやった方が良いのであろう。
テーマの良さと監督の力量
テーマが面白いなと思い、見たかった作品。
一見重そうなテーマが、どう描かれてるのかなと思ってましたが、長尺なのに破綻無く、うまく構成されていて(実際にあった事件に基づいているとの事で、どこまでが事実で、どこからが脚色なのかわかりませんが…)、監督の力量が凄いなと思いました。
主人公の子が醸し出す、ちょっとうさんくさい(笑)雰囲気から、徐々に本音が垣間見えていく過程が良いのと、主人公と親密になっていく、ティーガールのおばあちゃんの徐々に変わっていく様子の演技が素晴らしい。
最終的に摘発を受けて、主人公が作りあげた茶飲友達のシステムは破綻してしまうのですが、映画の最後の終わり方も良いです。
ただ、個人的にはティーガールのおばあちゃんが最後、母と娘のようなとてもいい関係を築いていたように見えたのに、主人公の女の子を裏切るような発言をしてシーンが終わるのが、ちょっと残念でした。
実際はどうだったのかわかりませんが、自分が主人公の女の子の立場だったら、ショックだろうな…
上映館がとても少ないのがもったいないと思うくらい、いい作品でした。
正しいことが幸せなことではない
家族って、何?
その言葉を映像に込めた感が、すごい。
題材は、実際の事件を元に作られているようだが、そこに肉付けされたそれぞれの家族の形がリアル。
よく、こんなに刺さるセリフが書けるなと感心するぐらい心情を暴いている。
この組織化されたシステムを、売春と言う言葉で表すと汚らわしいもののように見えるけど、需要と供給のバランスだと思えば、悪くないシステムかも。
与える方も受ける方も、助けられてるから。下手なカウンセリングより、ずっと効果がでるかも。誰も傷ついてないし。
少し残念なのは、これらを運営しているのが若い世代で、本気で高齢者の気持ちを理解していたわけじゃないのかな。
ビジネスという切り口?
本気で考えてたのは、代表のマナだけかも。
自分の寂しさを他人の寂しさで紛らわすなって、警察の人言ってたけど、カウンセラーも福祉士もいるでしょ、そういう人。
不幸な家庭見ると、一人で抱え込んでいい人になりたがる支援者。
正しいことをしていれば、褒められて、間違ったやり方だと怒鳴られる。
何とかならないのかね、この国のそういう体質。
マナを取り囲む人が、最後には逃げていってしまったことが残念だけど、実際はどうなんだろ?
このビジネス、今もどこかで続いてるとしたら?
高齢者の性を嗤っている場合じゃない。
明日は我が身だし、何なら今、自分はパートナーと満足の行く関係作れてる?
自分の胸に手を置きたくなる映画でした。
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