茶飲友達のレビュー・感想・評価
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老後に待ち受ける大きな「孤独」
配偶者の死、子どもからの「無視」「放置」、あるいは独りで迎える死、 孤独の中で生きていかなくてはならない日々が、私たちにもいつか訪れる
寝たきりにならない、ボケないための健康雑誌がたくさん売れても、孤独を解決する方法はみつからない そういう悩みの特効薬、特に男性にとって寂しさを埋めるのは性的関係であり、女性にとっても、その場限りでも自分が必要とされていると実感できる場面であろう
この作品の題材となった「事件」は、性的関係が高齢者の孤独を解決する特効薬であることで「大ヒット」するも、世間の常識から逸脱していることで「犯罪」となった
「カジノ」「パチンコ」「パチスロ」を導入した要介護者向けのデイサービスが脚光を浴びている 健康、体力づくり、食事、入浴、おしゃべりや創作活動よりも、射幸心、ギャンブルといった「本能」に着目したデイサービスが評価され、一方でこつこつと地道な「介護」は事業者間の差別化の中埋没していく感がある 「本能」に働きかけることで表情が変わっていく本作の高齢者を観て、いつか訪れる孤独への処方箋が性やギャンブルといった「本能」にしかないのかとも思った 岡本玲さんはCMでは馴染みがあっても、単発出演が多く、連続ドラマ・映画ではあまり見かけなかったが、娘の顔・組織の顔・姉の顔、そしてファミリーの顔と恐ろしくもなるような演技をみせてくれた もっと評価されて欲しい方だ また若いスタッフの父親との関係、母親との関係、シングルマザーの話は、今の若者の置かれている不安や葛藤でもあり興味深かった また子育て支援に我が国の首相は熱弁を振るっているが、職員も予算もない住民に近い自治体窓口の対応がよく描かれていた (3月29日 シネ・ヌーヴォX にて鑑賞)
寂しい心をどう埋めるかという普遍的課題
高齢者の性
「ルールはルール」
私には、ただ孤独を深掘りしただけの映画 そこに希望は見出だせない。
やや不自然な点もあるものの、好印象。
今年88本目(合計740本目/今月(2023年3月度)23本目)。
もともと1つの映画館だけで「細々と」やっていた作品が口コミなどでひろがって、今では大阪市でも見られるようになりました(それでもミニシアター中心)。
実際の事件をもとに作られた、いわゆる「高齢者売春」を扱う映画です。ただ、それは一見すると本筋であるように見えますが(公式サイト等)、実はサブになるのは「産む・産まないの選択権」「ギャンブル等依存症」、もっといえば「高齢者の孤独問題」(孤独でなく満足に生活していれば、今回のようなことにはならないことは明白)に論点があることはすぐにわかります。
一応、PG12扱いなので「発言の一部において」やや不穏当かなと思う点もあるものの、描写「それ自体」に関しては配慮があります。
この映画をどう解するかは難しく「売春行為は何が何でもダメだよ」という見方はおそらく表面上のものではなく「高齢者福祉がどうあるべきもなのか」、もっといえば「困っている人に対して(年齢を問わない)、福祉行政はどう接するべきなのか」という「福祉行政の在り方」が問題提起されているように思えます。これ自体は「福祉「行政」」といっても行政書士の資格持ちがどうこうできる範囲を超えてしまいますが、そのような「行政側の不作為」(ある事象について、何もしないことを「不作為」といいます。要は「棚上げ・先延ばし」と一緒)が論点・問題提起にあるのだろう、ということになります。
採点に関しては下記が気になったので、4.7を4.5まで切り下げています。
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(減点0.3/ストーリーが不自然な点がある)
・ この映画を実際に見ていただくとわかるのですが、この「茶飲友達」の組織に、妙なまでに法律に詳しい人がいます(少なくとも行政書士以上の資格持ちでないといえないようなセリフを出してくる人がいます)。この映画は先に述べた通り、「参考にしたもとの事案」がある事件ですが、そちらのニュースではそのようなことは書かれていないのですよね(当時の報道による)。
ただ、そうした資格持ちがこうした「明らかな法律違反」に加担していれば、登録していればもちろん業務停止処分等、登録していなくても「いい加減にしろ」と言われるのは明白で、なぜに「妙に法律に詳しい人」が出てきたのかは謎です(登録者=開業者はもちろん、合格者でもこんな「明白に法律違反」と言えるものに加担することはないので)。
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タイトルなし(ネタバレ)
妻に先立たれ、古家でのひとり暮らしの70代の男性(渡辺哲)。
侘しく寂しい毎日の中、大手新聞社の三行広告で「茶飲友達、募集。」と見つけた。
電話をして、相手方指定の喫茶店へ赴くと、小綺麗な初老の女性の横に、30歳前くらいの若い女性(役名、マキ。岡本玲扮演)が付き添い、若い女性のほうから会の説明を受ける。
マキが言うには、喫茶店などで世間話をする煎茶コースと、それ以上の大人の関係をつくる玉露コースのふたつがあるらしい。
男は、なにやら微妙な期待を含めて、玉露コースを選ぶ・・・
といったところからはじまる物語で、「茶飲友達(ティー・フレンド)」という会は、高齢者向けの性的サービスを斡旋する会なのだ。
映画はその後、ひとり暮らしで、スーパーで半額シールの貼ったおにぎりを万引きするぐらいまで精神的に追い込まれた初老の松子(磯西真喜)とマキの物語が中心となっていくのだけれど、その間にも茶飲友達の婦人たちや運営側の若いひとびとの様子も描いていきます。
実際にあった事件に着想を得てつくられているらしいが、会を運営する側を若い世代にしたことで、映画的な多層性が出、面白みが増しました。
特に、妻子ある男性と交際し、妊娠してしまう千佳(海沼未羽)の、母親になる決意はあるものの経済的に困窮して行き場がなくなってしまうエピソードが痛々しく、会が摘発される寸前に売上金を持ち逃げしてしまう顛末は、やるせない。
その他、脱サラしてパン屋を開業し廃業した父親を持つ送迎担当の青年の、ホームレスとなった父親やパチンコ依存の茶飲友達婦人との間で板挟みになるエピソードも印象深いです。
会を立ち上げたマキが事あるごとに「ファミリー」と口走るのは、老年世代から若年世代へと脈々と受け継がれてきた「家族幻想」「家族という呪縛」なのだが、そんな幻想や呪縛にでも縋るしかないあたりが、いまの日本の現実なのかもしれません。
観終わって脳裏に浮かんだのは、年初に公開された『ファミリア』。
本作の方が「ファミリア」のタイトルが相応しい。
また、『夜明けまでバス停で』も想起しましたが、希望を感じた『バス停』と比べると、やるせなざが残ります。
なにせ、映画のラストでは、冒頭の初老男性が崩折れますからね。
茶柱勃ったらスタートです。
アナログの広告、新聞に掲載する「茶飲友達募集」、実態は高齢者売春倶楽部の会員を集める為の広告だった。
売春倶楽部と知らずに電話する高齢男性達と倶楽部で働く高齢女性、経営者(マナ)の家族の話。
コースには煎茶コース、玉露コースが選べる。煎茶だとお茶しながらの会話、玉露だとそれ以上のサービスがある。
とりあえず会員1000人を目標に頑張るマナと倶楽部で働く男女、目標の1000人へ達成した時に問題が!
万引き、自殺と人生諦めてた若葉(源氏名)、倶楽部で働き始めてすぐに店のナンバー3。
客の一人がコースの時間中に自殺。
自殺した客を放置し帰ってきてしまって問題に。
倶楽部も摘発されて経営者マナも警察に捕まるんだけど、マナ演じる岡本玲さんの捕まる前と捕まった後の演技のギャップが凄いな!っていう率直な感想。
岡本玲さんって全然メディアで見る事ないけどもっと露出してもいいのでは?と思った。
キレイだし演技も捕まった後の警察に怒鳴るシーンも迫真の演技!
あと気になったのが「承知で~す」っていうワードを使うティーフレンドの人達、聞き慣れない為か、面白いのと、何かキモい!という絶妙な感じ(笑)
あと個人的な意見だけど年齢関係なく男が好き、女が好きって、自分を輝かせる為にも必要な事よね!と思う。
実際こういう人のほうがカッコいい、キレイな人が多いのも事実。
評価は3.5だけど飽きずに面白かったです!
高齢者風俗ではなく家族を問いかける
ちょっと前に女性の友人(40歳代)がマッチングアプリをやっていたときがある。いいねのくるのが60代や70代ばかりで40歳代女性の婚活の厳しさを実感していると話していた。20年前の70歳代に比べると今の70歳代は元気なんだろうと思う。活動的だし、見た目も若々しい人が多い気がする。もちろん性欲もまだまだって人も多いんだろう。
本作は、高齢者向け風俗を描いているんだけど、違うものが見えてくる映画だった。高齢者の孤独、シングルマザーの苦悩、若い世代の運営サイドのチームワーク。高齢者の性というよりは、家族って何?というテーマを問いかけてくる。
寂しさを埋めるかのようにティーフレンドにハマる高齢男性たちの姿は、とても孤独で切なくなる。でも、同時に彼らがとても元気だってことに感嘆してしまう。「性欲は生きる力」ってセリフがすんなり入ってくる。
高齢者向けの風俗という視点が面白いと思っていたら現実に摘発された風俗だってことに驚いてしまう。やたらとリアリティがあるのもわかる。映画で出てきた売春行為は犯罪だ。でも、それで救われる人がいたことも確かだと思う。善悪、正しいかどうかだけでははかれないものが世の中にあるってことも考えさせられる。なかなか奥の深い映画だ。
主演の岡本玲がとてもいい演技だったことも付け加えておく。もっと他の映画も観てみたい。
ルールって一体なんのために?
凄い! 豊かな国のあり方のテーゼ?=高齢化の問題に一矢!
高齢化社会の中で、
高齢者にとってのSEXとは?
SEXの実情、そして必要性?
監督の主張は?
と、思いながら映画が進むと
どこに、矛盾があるのか・・
倫理だけの問題だとすれば・・
映画を見た、みんなは
もう少し、本気で議論すべきことだよと
監督の提案だ!ときづき思います。
伏線で、スタッフが
シングルマザーになることを
決意する場面があります。
でも、そのためには風俗で働くと・・
国の補助(金銭補助)のくだりがあり
マナ(岡本玲さん)は、言います
「みんなで育てればいいじゃん」
この「みんな」とは、国民で!
と、いうことの比喩ですよね!
この映画のキーワードは
「みんなで、支える」
日本の国が
みんなで支え合って(人種、生い立ち、収入等など、すべて解き放つて)
生きていけるなら
(そこに国の予算を使えば)
少しは、まともな国になりそうです!
そこには、これまでの倫理や常識的は
不要ですね。
あと、万引き「半額のおにぎり」が
気になりました。
賞味期限切れ
年老いた女性 の比喩?かなと
でも、終盤でスタッフの1人が、
その、半額のおにぎりを、食べるシーンが
ワンカットはいってます。
「パリッと」と、
新鮮な海苔の音が耳に残ります。
(半額でも、まだまだ新鮮ですよ?)
終盤で、また半額のおにぎりが
出てきます。
松子さんの買い物袋の中に。
松子さんは、半額になったおにぎりに
哀れ、同情、してたのでしょうか?
人生、どんな時も
「パリッと」は、
残し、失わずに、持っていたいですね!
良い映画を見れました。
売春防止法逸脱に気をつけよう
高齢者の性を取り上げた作品として、『百合祭』『雪子さんの足音』が思い出されるが、それらが当事者間の秘め事として進められるのに対して、本作は、若者たちが組織的に運営し、孤独な高齢者を「再生」させながら、誰も食い物にされていないようにみえ、悪いところをみつけるのは難しそうに感じた。リーダーの実家の母との葛藤に、社会常識との遊離がみえ始め、外部露見に到る道筋と破綻してなお存在意義を強調するところは、『万引き家族』の末路に似たところがある。高齢者の生き甲斐を回復し、絆を強めることは、確かに現代的意義のあることだが、売春防止法を逸脱しない範囲内でやった方が良いのであろう。
今必要とされてる仕事かもね。
昔摘発された記事、ニュースは見た覚えがある。2013年頃実際にあった事件で、なかなか気の利いた奴らだなと思った、、、。
それでこの映画興味があったのです。
まあ映画だから色々脚色されてるわけだが、行き場や金のない老人が増えてる今、話にいちいち説得力がある。
演出も控えめでリアリティがあり、役者達も実にいそうな感じのキャスティング。ワークショップを経て出演してる老人達もいい感じ。
主催者の女性が擬似ファミリーを上手く作り上げた所が本件の面白さと悲劇の部分である。煎茶コースと玉露コース、よくできてるなぁ。
予定通り摘発がクライマックスな訳だが、ファミリー崩壊の様子が見どころだと思う。ピンチの時に人は内面が露呈するよね。
「人の寂しさで自分の寂しさを穴埋めするんじゃない」
ちょっと違ったかも知れないけどこの言葉は刺さった。
でも間違いなく今必要とされてる仕事である事はたしかで、おそらく違った形、名前でいまでも存在してるかも知れない。
反社組織の資金源とかにならなきゃいいなぁ。
薬を使いたくない意地
高齢者を対象にした売春グループの心暖まる作品。 本年度ベスト!
予告編が面白そうだったので鑑賞したけど予想外の良作に出会えた感じで満足度は高め!
売春行為で高齢者達に生きる希望を与えている感じで犯罪とは思えない表現方法が素晴らしかった。
風俗で働いていた佐々木マナが高齢者を対象にした売春組織「ティー・フレンド」を運営して行くストーリー。
運営側は皆、若い人だけど其々に事情がある人間ドラマが濃いめ。
それらのドラマ全てが見応えあり。
売春する高齢の女性達にも色んな事情があり作品に引き込まれる。
運営する佐々木マナが素晴らしい人格者って感じ。
周囲の人達を明るく元気にさせる感じが素晴らしい。
マナにも家庭であることがあり葛藤している姿に泣ける。
売春のシーンはかなり多め(笑)
エロさは一切感じなくホッコリする感じで微笑ましい(笑)
ラストは予想出来る感じなんだけど、岡本玲さんが演じるマナの迫真の演技に圧倒された。
本作は家族(ファミリー)がテーマでした( ´∀`)
テーマの良さと監督の力量
テーマが面白いなと思い、見たかった作品。
一見重そうなテーマが、どう描かれてるのかなと思ってましたが、長尺なのに破綻無く、うまく構成されていて(実際にあった事件に基づいているとの事で、どこまでが事実で、どこからが脚色なのかわかりませんが…)、監督の力量が凄いなと思いました。
主人公の子が醸し出す、ちょっとうさんくさい(笑)雰囲気から、徐々に本音が垣間見えていく過程が良いのと、主人公と親密になっていく、ティーガールのおばあちゃんの徐々に変わっていく様子の演技が素晴らしい。
最終的に摘発を受けて、主人公が作りあげた茶飲友達のシステムは破綻してしまうのですが、映画の最後の終わり方も良いです。
ただ、個人的にはティーガールのおばあちゃんが最後、母と娘のようなとてもいい関係を築いていたように見えたのに、主人公の女の子を裏切るような発言をしてシーンが終わるのが、ちょっと残念でした。
実際はどうだったのかわかりませんが、自分が主人公の女の子の立場だったら、ショックだろうな…
上映館がとても少ないのがもったいないと思うくらい、いい作品でした。
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