「地獄の道程」恐怖の報酬(1977) KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
地獄の道程
まごう事なき地獄の道程。
あんなジャングル、ニトロ積んでなくても絶対に通りたくない。
せめてトラックくらいオンボロじゃなくて強くてしっかりした物を供給してくれよ…
前半は4人の男たちの転落が描かれる。
初期の公開版ではそこがごっそりカットされていたとのこと。
最初は次々とスポットを当てる人物が変わることに戸惑うし、正直長いなと思った。
しかし南米の地で4人が集まった際の高揚感はなかなかのもの。
人となりやその過去と事情を把握しているか否かで断然見え方は違ってくる。
テロ、強盗からの事故、殺し屋、不正融資、そもそも前半からスリル盛り沢山でしかもやたらと爆発が起きる。
その物理的な衝撃が強くて多少長く感じてもアクセントがあるので飽きが来ない。
4人が4人とも追われる立場なのが面白い。あの現場で働く者たち、他にも犯罪者がゴロゴロいそうである。
セラーノのレストランからの猛ダッシュ逃亡が好き。残された奥さんの気持ちよ…。
本題のニトログリセリンの運搬劇はもう手に汗握りっぱなし。
次々と道を阻むものが現れ、それを越えるさまをこれでもかというほど執拗に執拗に描写するので堪らない。
ポスタービジュアルにもなっているボロ橋を渡るシーン、マルティネスが一瞬落ちかけた時は思わず声が出てしまった。
倒れた大木の爆破作戦は流石。
躍起になるドミンゲスを見た直後、工作し始める男たちに「何が始まるんだ?」と不安に思っている中のニトロ設置。あぁそういえば爆薬を運んでいるんだった…
お見事としか言いようのない手際にガッツポーズが出るけれど、初めて見るニトロの爆破力にゾッとする。
そして作戦成功後、気が緩み少しの情が生まれて談笑している所に不意打ちのパンク、爆発。勘弁して。
残された二人に託すしかないのに追い討ちのゲリラ登場。勘弁してって。
人を殺し慣れたニーロの最後が悲しかった。銃に生きて銃に死ぬ人生か。響く高笑いが恐ろしい。
トラックも死亡し、一人遺されてしまったドミンゲスの執念の徒歩運搬でやっと任務完了。
彼にとっても観てる側にとっても後味の悪い遂行である。
そして最後の最後、ダメ押しのバッドエンド。
ドミンゲスはどんな気持ちで踊っていたのか。
腕の良い殺し屋はこんな僻地まで追ってくるのか。
エンドロール直前に一瞬鳴る銃声にやり切れない気持ちになる。
後半のあまりにネチッこい描写はもはや笑えるレベル、非常に緊張感の高い作品で鑑賞後はとても疲れた。
面白く観られた反面、なぜかそれぞれに感情移入することがあまり出来ず傍観者に徹さずを得なかったのが残念。
私の気の持ちようの問題だけど。やはり前半長かったのかな…
彼らの繋がりが分からないまま一人一人のエピソードをぶつ切りの羅列で見せられるのがしんどかった。必要だとは思うんだが。
それにしても撮影のリアルさがものすごい。どう撮ったんだ
強盗に入られる教会の結婚式で花嫁の顔にガッツリ痣があったのが忘れられない。不気味にもほどがある。
初めまして♫
エンドロール前の一発の銃声が、TVで観たせいか、気付きませんでした。
KinAさんのレビューを拝見し、確認しようと録画してたのでもう一度巻き戻してオッケー。
少し音が小さかったので、やっぱり映画館で観る方が迫力ありですよね、この映画は特に。
どうもありがとうございました。