「ズレ」聖闘士星矢 The Beginning U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ズレ
正直…微妙だった。
まず引っかかったのが照明だった。
なんかチープだ。
オープニングアクトは派手な感じであったのだけど、なんかコレじゃない感が漂う。
物語も一向に進んでくれず…なんか時間稼ぎでもされてるような印象を受ける。
原作からの改変がその都度話題にはなるのだけれど…改変後が面白ければ誰も文句は言わないのだと思う。何故、この方が面白いとなったのだろうか?
アテナの暴走は面白くもあったのだけど…冒頭に語られるのは黄金聖闘士が戦と知恵の女神であるアテナを神々から守るって話だった。
そのアテナは神々から迫害を受けてる人間を救う為とかなんとかって存在だったと思う。
まぁ…ちょっと???な感じではあって、神と人間の対立って構図があって黄金聖闘士は人間側の立ち位置と解釈する。
結構壮大な背景なのだけど、神々はカケラも出てこず、敵対してるのは母親だ。
絶大な力を持つアテナを消滅させる義務が母親としてあると言う。その為の力は黄金聖衣を解析し得たのだとか…。ここでも???だ。
つまりは人なのだ。人間の叡智ってな凄いなぁとも思うし、そんな事まで出来ちゃうお前は何者なんだと思う。
正義と正義がぶつかるって構図は原作に則ってはいるものの…黄金聖闘士が敵になってなかったりする。
母親としてはアテナの力だけを抽出したかったのだろうか?
スケール感が縮小してるような気にもなる。
アクションにおける功夫要素も不可解ではある。
印を切るような予備動作がしつこいし、体系的な功夫縛りがウザくもある。世界的にはウケるのだろうか?
CGは最早、ゲームのデモ画面のようでもあり…最新ならば良いのだけれど、なんだか一世代前のような印象を受ける。
脚本の違和感もさる事ながら…。
1番のズレは主役の芝居だった。
日本の芸能界は芸能とは程遠い存在で、ガラパゴス的な進化を遂げているのだと思われる。
外面が外れないというか…内面が見えてこない。
見られ方を制限するかのような傾向にある。
こなれ過ぎてるのだ。
こうしとけばこう見える。
そんな方程式に囚われているような印象…。
表情が動いちゃいるが、他の役者と比べれば能面のようだった。かたや海外の役者陣は、こうだからこうなってると、アプローチが真逆のようで…その差が如実に表れてたように思えて、噛み合わせが悪い。
暴走したアテナに近付いていく時、なんであんな穏やかな表情なの?必死じゃないの?覚醒したアテナにとっては枯葉のような青銅聖闘士が懸命に訴えるからドラマになんじゃないの??
イケメンの商品価値は日本にしかないなと心から思えた。アテナにパンチを食らってから立ち上がった星矢は、ボディビルの舞台にいるようであり…失笑してしまう。あの体を作り上げた努力は絶賛するも、使い所を間違ってるように思えた。
母性の戸田恵梨香さんとか凄えなぁと思ったのだけど、きっとアレが世界水準なのだろう。
日本の漫画が海外で映画化される度、別に日本人に向けて作ってる訳ではなく世界に発信する為に作ってるなんて事をよく聞くけれど、日本の漫画は既にワールドワイドな認知を受けてる。
つまりは極東の一部ってローカルな視点はもう通用しないんじゃなかろうかと思うのだ。
いつになったら原作リスペクトな風潮の作品がハリウッドで制作されるようになるのだろうか?
なんか全体的にナメられてる感が拭えない。
ビギニングって触込みではあるものの…どんな物語が始まるのか全くの未知数に思える。
いや…期待はしてる。
世界的に興行がよければ続編もあるのだろうし、この改変が的を得てたって事にもなる。
叶わぬ願いなのであろうか…。