ナイトメア・アリーのレビュー・感想・評価
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或る意味ファンタジー
見せ物小屋に落ち込む冒頭から愛好者には嵌るだろう。 街の実力者とファムファタルに関わり、堕ちていく。 フリークと化す己れを受け入れる結末が暗黒の甘美か。
暗く丹念に作り込まれた映像の描く、輪廻・因果応報の叙事詩
昭和一桁生まれの親から昔聞いたことのある「見世物小屋」。そのヒリつくような妖しい空気感、洋の東西を問わず、よくぞ再現したものだと感心した。ビリケン小僧みたいな標本強烈!この監督、シェイプ・オブ・ウオーターの時と同じ、光より影を撮る人。CGなど使わずに。正に「撮・影」だ。 「読心術」、実にきな臭く俗っぽく、危険な詐欺です。なぜ社会的地位の高い人まで騙されちゃうんでしょう、と思ったけど、それは現在でも同じこと。一国のトップであろうと、心に隙間風が吹いてると付け入られる、絶対に騙されないという自信がある人ほど危ないです、なんていうのは言い古された普遍的真実なんですね。あなたも私も気をつけよう!
エセ霊媒師の成れの果て
ギレルモ・デル・トロ監督作品にしてはエッジ不足。 毒も無ければエロもエモも無い。 どうじた?ギレルモ!? 原案は面白かったのに 世間体重視で作らざるをえなかったのか? ストーリーも 途中から登場するサブキャストのドラマが薄く始まって 主人公のトラウマ描写が薄くなってしまった。 勿体ない。 ギレルモ・デル・トロ監督には もっとショッキングな映像で ドロドロしたやつを撮って欲しい。
金に執着する動機が見えない
デルトロの新作なので観ずにはおられなかったが父への深い深いコンプレックスと眼へのこだわり‥アカデミー賞監督になっても失われない(決して変えようとしない)アイデンティティーに敬意を表す。舞台設定は傑作「グレイテスト・ショーマン」と同じなのだが年代は第二次世界大戦前夜でずっと近くサーカスとは名ばかりの「見世物小屋」興行でいつも雨か雪が降っており暗く陰鬱でてんでハッピーになれない因果応報物語である。どうして堕ちる一方なの?もうちょっと明るさとか希望とかを描こうという気持ちは無いのか?あ、とてもつきあってられないという人は舞台から退場してさよならなのだ。そんな冷たさってある?誰か救ってやれよ。
ダークで美しい世界に入り込める体験
シェイプオブウォーター同様デルトロ監督のダークな世界観を存分に味わうことが出来る作品。 冒頭、見世物小屋的なカーニバルにて獣人なる動物を見世物に多くの人が怖いもの見たさに訪れるが、物語が進むにつれていちばん恐ろしく醜い生き物は人間であるということに気づかされていく。皮肉に満ち溢れた作品だった。 2時間30分という上映時間に対しての展開具合を考えると長さを感じることは否めないが、この世界観に存分に浸れる長さとも言える。
見やすいノワール作品
ダークな雰囲気が良いですね。セットの雰囲気がいいですね。舞台となる見世物小屋はじめ、終始「いかがわしい」「胡散臭い」感じが最高に好きです。結局人間なんて猥雑でいかがわしくて胡散臭い欲望の塊なんです。大体の人(若干名以外)が脛に傷を持っていて訳ありなんです。そう!みーーーんな悪い人なんですよ(笑)そんな人たちが企みをぶつける話はいいですねぇ 原作はノワール小説とのことです。しかし、そんなにドロドロした物ではなく結構軽い印象でした。それはストーリーのテンポが良かったからかもしれません。トントンと話が進んでいき、わかりやすい振りと落ちがあるので納得のいく終わり方でモヤモヤ感があまり残らないのです。なんだろうなぁ、海外のダーク童話を読んだ後のような感触でしょうかねぇ? 作品で描かれる世界観がセット、衣装含めばっちりと具現化されているから、この物語自体がチープなお話に見えないのでしょうね。ストーリー自体はとてもわかりやすいのです。まぁ、そうなるんだろうなぁと思いながら鑑賞していましたが、それが気にならないくらいに世界観に引き込まれていきます。それは十分な作り込みがなされているからなのかもしれませんね。派手さはそんなにありませんが楽しめます。
人にはススメられないなぁーと。
かなりダークな内容で 観終わって少し暗くなりました。 映像や音楽 セットは素晴らしいです。役者もね。 やはりといふか「人は騙しては いけないよ」みたいな。 振り込み詐欺師は 即刻やめるべし。(怒)
悪夢の小路に迷い込んだ男の末路
ショービジネスで成功を目指す男が、栄光から一転破滅へ向かう様を描いた作品。 盛り上がりに欠ける部分もあったが、 推しのルーニーマーラが出てくれただけで大満足。 前半の幸せそうな姿をずっと観ていたかった… しかし、後半ケイトブランシェット様が出てから一気に破滅へのカウントダウンが始まる。 お金を得て良い部屋に住んでいても幸せそうじゃない、可哀想になってしまう。 ブラッドリークーパー演じるスタンの破滅していく様は見もの。自惚れ甚だしい姿、その自尊心を粉々に砕くケイトブランシェット様は流石大女優。人の道を外れ、大事なものを全て失った男の末路は…見事なラストに震え上がった。
40年代フィルムノワールの雰囲気
最初は「エレファントマン」のような見世物小屋でのおどろおどろしい話かと思ったが、中盤以降は1940年代のフィルムノワールの雰囲気。 移動遊園地のセットがよくできていて、7つの大罪のところなど、もっとよく観たかったくらい。陰影をつけてオレンジがかった映像も怪しげ。音楽もミニマル風で良い。 しかし、物語としては、中盤以降、かなり無理な展開になっていく。さすがに、幽霊を実際に出すなんてね。小説として読むなら面白いだろうが、映像になると陳腐に見えてしまったのが、正直なところ。 役者陣は豪華だが、BクーパーもKブランシェットも、あまりハマった感じはしない。出番は少ないものの、Dストラザーン、Mスティーンバージェン(久々!)といった脇役が印象深い。 ラストは、なるほどと腑に落ちるが、見終わったところで、果たして作り手は何を描きたかったのだろうか、という疑問は残った。 全体として、技巧に走りすぎていて、あまり感情に響いてこない、といった感じ。
予告に騙された(アリーって人名じゃないのね)
後半の失速感よ。 フリークスの描き方はさすがデル・トロと思ったが、それだけ。 恋人を殺されたりするともっとおもしろくなったのになぁ(-_-;) ♪芸のためなら女房も泣かす〜 どことなく「ギター弾きの恋」に似ているかも。
越えてはいけない一線
物事がうまく進むと、ついつい調子に乗ってやりすぎてしまい、手痛いしっぺ返しを食らったり、破滅へと転がり落ちていったりすることがあります。本作はまさにそれを描いています。 ストーリーは、たまたまカーニバルの見せ物小屋でギーク(獣人)と関わったことから、そこで働くことになったスタンが、一座のピートから読心術の技を学んだことで自信をつけ、同じく一座で働くモリーと連れ立って独立し、自らの力でショービジネス界の頂点に立つことを目指すが、膨れ上がる野心を抑えきれず、禁断の技術に手を出し、引き返せないところまで突き進んでいってしまうというもの。 冒頭、主人公のスタンが重そうなずた袋を引きずり、家に火を放ち、あてもなくカーニバルの見せ物小屋に流れつくまでは、何が描かれているのかよくわからず、少々退屈な立ち上がりでした。しかし、スタンがカーニバルのメンバーから次々に技術を吸収し、アイデアを具現化させ、自らの可能性を広げていくくだりはなかなかおもしろかったです。 中でも、読心術の技とトリックは興味深かったです。コールド・リーディング的な手法はこれまでにも聞いたたことがあり、種明かしされればなるほどとなりますが、実際には、鋭い観察眼や洞察力と巧みな話術のなせる高度な技であると思います。これを目の前で、しかも自分に対して行われたら、疑いより先に驚きが立ち、誰もが信じてしまうことでしょう。こんな感じで、前半は、スタンが自らの資質や才能に気づくとともに、彼の野心に火がついたことがよく描かれ、後半へのフラグが立ちまくっているように感じました。 そして後半、スタンが一応の成功を収めるも、さらなる高みを求めて越えてはいけない一線を越え、破滅に向かってのカウントダウンが始まります。嘘をつくとすぐに顔に出てしまうようなチキンは自分は、ハラハラしっぱなしでした。終盤、モリーを巻き込んだスタンの企みの結末と、リリス・リッター博士とのやりとりが描かれますが、そこで終わらず、後日談からオチまで描かれたのはよかったです。結局、スタンは金も名誉も腕時計も失い、人間としての居場所や尊厳も失います。伏線が丁寧すぎて予想できるものではありましたが、冒頭からの伏線を回収してのラストは、悪くない締めくくりでした。 主演はブラッドリー・クーパーで、物語を通して変容し続ける、さまざまな顔を見せるスタンを熱演しています。脇を固める、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ルーニー・マーラら女優陣も、それぞれがぴたりとハマる好演を見せます。ウィレム・デフォーも、あいかわらず存在感抜群でした。
前半の怪しげな雰囲気は良かったんですが
「パンズラビリンス」や「シェイプオブウォーター」のようなファンタジーでは無かったのね。 前半は、なんとなくファンタジーなシーンが多かったのだが、後半は至ってシリアルな展開に。 そんな期待をしていたオイラにとっては少し残念な思い。 なーんか後半は、よくある普通の物語になってしまったという印象でした。 期待し過ぎたかな。
あまり…
道具立ては禍々しく、なかなかに凝っています。 背景とかだけではなく、映像表現を含めた雰囲気づくりにも力が尽くされています。 ただ、そこまでで力を使い果たした感。 物語は平板で、意図されたであろうわざとらしさも、それなりに展開させた筋も、道具立てに塗りつぶされてしまったように思いました。
刺激よりも噛み締める妙味映画です。
本作、ブラッドリー・クーパーで気になっていたので先日観て来ました。 古典で原作もあり、刺激的ではないかもしれませんが、俳優陣の妙味を味わえる作品です。 (“キャロル”の二方が、やはり凄いです笑) なんとなく邦画でも!と想像してしまい…森田剛、宮沢りえ、桃井かおり、小日向文世かなーと思いました。 本作評論で、節目で救いがあると言ってみえる方がいますが、個人的には…無いですよと言いたいです。流れ着いた場所から、どのくらい絶望があるか考えよと言いたいです。 ねっとり映画が好きな方、是非ご観賞下さい!!
太平洋戦争が始まった頃のアメリカの一コマ
時代は太平洋戦争が始まった頃。その頃のアメリカに、こんな世界があったのだなぁ~と、すごく惹き付けられました。 私から見たら底辺の生活をしている一座。そんな環境なんですが、仕事があるのなら御の字なのか、なんとか潜り込めたスタン。でもそこにはさらに底辺の暮らしをしている者もいる。 そんな一座での暮らしが迫力満点に描かれていました。そこからの浮き沈み… ケイト・ブランシェットがスゴイよ。 面白かったです!
洒落てしまうよ
序盤はとても静かというか波がない展開に首を傾げて観ていましたが、読唇術を手に入れて少しずつ自惚れていき、転落していく様子が展開されていくごとに尻上がりに面白くなっていきました。 八方塞がりになり、ボロボロの状態で最初のような展開になり、もう一度酒を浴びるというリスタートとはまた違う描写になっていたのも個人的に良かったです。弾丸を頭と目に当てる描写もギリギリ見せない見せ方も上手く焦らされた感じです。 セットだったり背景美術の作り込みは素晴らしく、おどろおどろしいものから煌びやかな物まで、観るアート展のかのような楽しさが詰まっていました。 前半が微妙だったために、総合ではなんとも言えない評価になりましたが、アカデミー賞納得だなぁと思えるクオリティでした。「パシフィック・リム」見てきます。 鑑賞日 3/31 鑑賞時間 14:20〜17:00 座席 J-4
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