劇場公開日 2022年3月25日

ナイトメア・アリーのレビュー・感想・評価

全282件中、281~282件目を表示

3.5ギレルモ流奇妙なアートとノワールが融合!独特の世界観を生み出した!!

2022年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

1947年の映画『悪魔の住く町』の2度目の映画化ではあるが、監督を務めるのは、『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロとあって、ただで済むはずもない。

らしさ全開のアートセンスが所せましとあふれ出してくるような映画でありながら、ノワールの雰囲気もある。奇抜であるのに、ノワールという絶妙なバランスで描かれている。

コソ泥はコソ泥としか生きられないし、ペテン師もどう背伸びをして、どうインテリのように偽ったとしても、ペテン師としか生きられない。

そして振り出しに戻されてしまう。これは社会に出ても、周りに溶け込めず、疎外され、再び犯罪に手を染めてしまう。つまり犯罪者の再犯率が多い心理状況とも通じるものを感じる一方で、因果応報、カルマのような物語である。

少し『グレイテスト・ショーマン』に似ている部分もある。それは見世物小屋が題材とされているという、単純な部分だけで言うのではない。

『ジョニーは戦場へ行った』でも、自分のことをいっそ見世物として使ってほしいというセリフがあるように、社会から締め出された者たち、生きていけない者たちにとって、違法であっても、非人道的であっても、時にはそこが居場所となり、受け入れてくれることこそが、何よりも優しく感じられる瞬間があるということ。

差別だとか、非人道的だとか、騒ぐのは、いつも”そうではない者”たち。

しかし一方で、そういった者たちを限られたコミュニティ内で隔離してしまうことで、より社会格差を生み出してしまう負の連鎖でもある。いつの時代も引きずり続けている、なかなか考え深いテーマだ。

コメントする (0件)
共感した! 13件)
バフィー吉川(Buffys Movie)

4.0強烈に骨太な宿命の人間ドラマを満喫

2022年3月8日
Androidアプリから投稿

仏教法話のような、因果応報の物語。デル・トロ監督は日本が好きなのかな。というのはジョークだが、ファンタジー満点の作品かと想像していたら、宿命への激流に飲み込まれる骨太の人間ドラマを満喫した。愛と欲望と、抗えぬ運命へ、様々な登場人物の思惑が主人公を破滅へ誘う、映画的な力技に感嘆した。
舞台背景はかつて寺山修司がモチーフとした見世物小屋を連想させる、混沌(カオス)の空間なのも、個人的にはご馳走だ。
カジュアルなSFホラーと思われがちな佇まいだが、しっかりした大人のドラマであることを理解してもらえれば良いのだが。

コメントする 2件)
共感した! 17件)
t2law