劇場公開日 2022年3月25日

「デル・トロの偏愛を愛せるかどうか、ですね。」ナイトメア・アリー ごーるどとまとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0デル・トロの偏愛を愛せるかどうか、ですね。

2022年4月14日
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第90回アカデミー賞で作品賞や監督賞等4部門を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督の最新作。今作でも第94回アカデミー賞作品賞他4部門にノミネートされていました(受賞はならず)。

前半と後半でガラリと雰囲気の変わる今作。

前半はいかがわしい見世物小屋を中心としたカーニバルが舞台。フリークスを主な見世物としているその一座をみていて思い出すのは「グレイテスト・ショーマン」。あれはヒュー・ジャックマンが演じたからか興行師バーナムがあまりに“善い人”ぽく描かれていて、ミュージカル作品としては十分に楽しかったものの(いやいやバーナムは人身売買的なことをやっていたしほぼほぼ詐欺師だしなぁ)ってモヤモヤしてしまったんですよね。でもこちらの興行師はウィレム・デフォー。デフォーは出てきただけで思いっきり胡散臭いからいいね(褒めてます笑)。
ホルマリン漬けのアノ標本や獣人(ギーク)の姿など目を覆いたくなるシーンが何度もありヒリヒリしっぱなしでした。これはデルトロだからデルトロだからってぐっと堪えてました。
後半は主人公スタンが一座を抜けてホテルでショーをするようになり舞台が一転。ここでケイト・ブランシェットが登場するのですが、美しくも氷のようなケイト、作品の空気を一気に変えていくのはさすがの大女優!
ここからはとってもスリリングな展開で心臓ドキドキしっぱなし。

そしてラストの恐ろしさ。うわっと思わず声が出そうになりました。ずっしり。
もうあのブラッドリー・クーパーの表情が忘れられません。

異形への偏愛が強く独特の世界観をもつデル・トロ作品はどうしても見る人を選んでしまうでしょう。でも甘美で妖艶で恐ろしい映画という沼をあなたも少しだけ覗いてみたくはなりませんか?
そう、一番恐ろしいのは見世物小屋をちょっと覗いていこうとする人間(我々)なのかも。。

ごーるどとまと
琥珀糖さんのコメント
2022年7月3日

今日は。はじめまして。
この映画は先日観ました。
なかなかレビューが書けないでいます.
ヒュー・ジャックマンの「グレイテスト・ショーマン」の感想。
ごーるどとまとさんと似た違和感を感じてました。
本作、複雑で怪奇。
ごーるどとまとさんのレビュー、とても的を得てると思いました。
(偉そうにごめんなさい)

琥珀糖