「観覧車は回る、運命の輪の如く」ナイトメア・アリー バスト・ラーさんの映画レビュー(感想・評価)
観覧車は回る、運命の輪の如く
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ギレルモ監督にしては珍しくファンタジーな設定は皆無、フリークスも全てまがい物、でもそこがギレルモらしくもある
ヴンダーカンマーよろしく眉唾物のガラクタを口八丁手八丁で真と見せるは映画、いや全てのフィクションに通じることでもあり、ギレルモ監督が原点に帰ったようにも見える(標本の胎児は初期作品のデビルズバックボーンを思わせる)
作中一番哀れな存在の獣人が復員兵なのも自身の作品で反戦を訴え続けるギレルモらしい
ストーリーとしては流れ者が見世物小屋で読心術を覚え精神科医とグルで権力者に取り入り…というものだが、観終わって真っ先に浮かんだのはカポーティの『冷血』と映画『モンスター』だった
主人公のスタンは一見すると人当たりもよく機転もきいて好人物に見える、でも少しでも彼と深く関わればその仮面の下に典型的な自己愛とエディプスコンプレックスにまみれた破滅型の人格が覗く、犯罪者としての行動も場当たり的で考えも浅く状況を楽観的に見すぎている
端から見れば作中何度も踏みとどまる機会はあったのに絶対ろくなことにならんだろ~馬鹿~てことに猪突猛進するスタンだが、本人は俺は誰よりも切れ者だから全員出し抜ける、て考えてそうなとこがすごく冷血ぽい、犯罪者心理だわ~
スタンはこの悪夢のような袋小路から抜け出して成功してやる!と思っているのだろうが、無駄だね、その何処にも通じていない暗がりはスタンの中に在り、関わった人間をスタン共々引きずり込んでいく
ラストのオチも元から犬畜生にも劣るスタンには相応しい
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