「ギレルモ流奇妙なアートとノワールが融合!独特の世界観を生み出した!!」ナイトメア・アリー バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
ギレルモ流奇妙なアートとノワールが融合!独特の世界観を生み出した!!
1947年の映画『悪魔の住く町』の2度目の映画化ではあるが、監督を務めるのは、『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロとあって、ただで済むはずもない。
らしさ全開のアートセンスが所せましとあふれ出してくるような映画でありながら、ノワールの雰囲気もある。奇抜であるのに、ノワールという絶妙なバランスで描かれている。
コソ泥はコソ泥としか生きられないし、ペテン師もどう背伸びをして、どうインテリのように偽ったとしても、ペテン師としか生きられない。
そして振り出しに戻されてしまう。これは社会に出ても、周りに溶け込めず、疎外され、再び犯罪に手を染めてしまう。つまり犯罪者の再犯率が多い心理状況とも通じるものを感じる一方で、因果応報、カルマのような物語である。
少し『グレイテスト・ショーマン』に似ている部分もある。それは見世物小屋が題材とされているという、単純な部分だけで言うのではない。
『ジョニーは戦場へ行った』でも、自分のことをいっそ見世物として使ってほしいというセリフがあるように、社会から締め出された者たち、生きていけない者たちにとって、違法であっても、非人道的であっても、時にはそこが居場所となり、受け入れてくれることこそが、何よりも優しく感じられる瞬間があるということ。
差別だとか、非人道的だとか、騒ぐのは、いつも”そうではない者”たち。
しかし一方で、そういった者たちを限られたコミュニティ内で隔離してしまうことで、より社会格差を生み出してしまう負の連鎖でもある。いつの時代も引きずり続けている、なかなか考え深いテーマだ。
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