「時期と時間が悪いですね……」劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編 和尚さんの映画レビュー(感想・評価)
時期と時間が悪いですね……
転スラをなろう、小説版、アニメ版で追っかけています。今回初の映画ですごく楽しみにしていたのですが、観終わった後には不足感が残ってしまいました。
後ろが長くなってしまったので、先に総評です。
1.一つ一つの展開が短い(やりたいことはわかるのだが、詰め込みすぎてダイジェスト)
2.無理にアニメ版に時系列を合わせた結果、主人公の見せ場がなくなった。
だと思います。映画に詳しくない人間が好き勝手言ってるだけですので、あまり参考にはならないかもです。
一つ目についてです。まず、テンポ感が良すぎること。ストーリーがするすると流れていくのはいいのですが、もうちょっと一つ一つの行動に時間かけてもいいのでは、と思います。前半はともかく中盤以降はダイジェストみたいになってる気がしました。
特に、もっとベニマルとヒイロの戦闘に絞ってもよかったのではと思います。元々転スラは小説でも色々なキャラが自身の得意分野で活躍していますし、戦闘も各所で行われて、複数人に焦点が当たるということは珍しくないのですが、映画で時間がないので、無理があったと思います。大技も殆どなく、数合打ち合ってすぐ視点が別所に変わるのが残念でした。他はディアブロ以外雑魚戦でしたし、ディアブロvsヴィオラも戦闘自体はそこまで長くなかったので……(個人的にはあの2人には魔法合戦を繰り広げて欲しかったところですが)
それに、トワがヒイロを生き返らせたときも、まあ、転スラの魅力の一つの、リムルが出会ってから味方は完全に命が無くなることはないし、敵ですら最後には(ただの屑じゃなければ)救いがある、が発動するだろうとは思っていましたが、もうちょっとやりようがあったんじゃないかと。
暴走して大事な人を殺しかけた男を、ヒロインが身体を張って止めようとして、男が正気に戻る、みたいなのはテンプレですし、そこで終わらなかったのはいいんですけど、
ヒイロ死ぬ→トワが生き返らせる→代償でトワが死ぬ→ヴィオレのお詫びで生き返る
の流れがやっぱりテンポ良すぎて、え、何があったの、って感じでした。せっかくの感動シーンだからもうちょっと時間かけて欲しかった。あれだとただのご都合主義にしか見えないと思います。
二つ目です。リムルが遊んでるようにしか見えない。これが大きいです。パンフで作者さんも言っておられたのですが、アニメと時期を合わせる為にリムルの八星魔王加入後だったのが大分ストーリーを作りづらかったのだと思います。(クレイマン死んでますし、他の魔王は友好的、小説版でそれ以降に出てきた強敵はアニメの進行度的に使えない上に、そもそもリムル自体が強すぎて最低でも魔王クラスの敵じゃないと話にならないので)
小説版を読まれた方は分かると思うのですが、魔王覚醒後はリムル自身は特に強化される事なくヴィオレを仲間にしてますし、そもそもその部下にリムルが苦戦することなどあり得ないはずであり、実際ずっと余裕を持ってます。幾らネームドとはいえヴィオレの様子からしてそこまで重要でも無さそうな立場の悪魔(多分爵位もないんじゃなかろうか)が黒幕な時点で、そこまでの大事には思えない。だからさっさと対悪魔戦終わらせてベニマルの援護行けと思ってしまいました。せめてヴィオレが本格的にリムルとの戦いに介入したなら話は別だったんでしょうが……それはそれで本編に影響出ますし、どうしようもなかったんでしょうね。
まあ、とりあえず今回リムルの見せ場は殆どなかったということです。少し時系列がわかりづらくなっても、魔王覚醒前に時を戻せばもっと面白かったんじゃないかと思います。
冗長に色々言いましたが、とりあえず自分個人としては初の転スラ映画であり、ヴィオレの初登場、ベニマルとヒイロの絆には感動できましたということは言っておきますし、次回はさらに良くなっていることを期待します。