よだかの片想いのレビュー・感想・評価
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痣は、わたしを主張している。
生まれつきの頬の痣に、何がしかの影響を受けて生きている大学院生の
前田アイコ(松井玲奈)は、ある日、痣と共に生きるている状態を
「痣のある自分も、一歩、前に出て良いのではないか?」
そう考えて取材のインタビューに応じる。
インタビュー集は本になりアイコの写真が表紙を飾る。
本は話題になり、ベストセラーになる。
それを読んだ映画監督の飛坂(中島歩)から、映画化の申し出を
受ける。
アイコは考えた末に了承する。
恋愛関係の描写を抜かせば、芥川龍之介の「鼻」のような話しである。
アイコは痣のある自分と半ば共存していて、憎からず思っているのだ。
痣のある自分を信頼できる人を選別して付き合ってこれた、と
ポジティブに捉えている。
美容外科を訪れたアイコはレーザー治療でほぼ治ると聞き、
安堵とともに、痣のある自分に愛着も実はあるのに気づく。
原作が「RED」や、「ナラタージュ」「ファーストラブ」に次ぐ
4作目の映画化となる島本理生の作品。
原作がしっかりしているので登場する友人や研究室の
後輩(青木袖)などの脇役にもに納得感が持てる。
音楽もオリジナルの前衛的クラシックで、センスがいい。
痣はいつでも消せる。
アイコは取り敢えずは前向きに生きようと決めたのだろう。
雰囲気が湿っぽいけれど、そんなに悪くない
人間は複雑だ。相反する想いを抱えることもある。主人公アイコにとってそれは、見られたいという想いと見られると恥ずかしいという想いだ。
過去のエピソードから、アイコがなぜそうなったのかを紡ぐ物語は実に丁寧だ。
言い換えるならば、アイコというキャラクターのみに当てはまる特別さを構築しようとしている。
逆にいえば、アイコの気持ちに普遍性が少ないので、本当の意味で彼女を理解するのが難しくなる。
それが悪いわけではない。極端な話、物語とは多くの人に当てはまる普遍的なものか、オンリーワンのキャラクターを紡ぐか、の二通りしかないのだから。
しかし振り返ってみると、ついつい顔のアザのことに触れがちだが、別にアザなんてなくともこの物語が成立してしまうことに気付く。
つまり、容姿に多少のコンプレックスを抱いている人全てに当てはまる普遍性を有しているともとれるわけだ。
で、結局何が言いたいかというと、人間は一人一人考えていることは違うのだから相手の気持ちを完全に理解するのは難しいということだ。それが異性ともなれば、ほとんど何も分からないと言ってもいい。
自分の判断で相手の気持ちを決めつけ、間違った寄り添い方をしてしまう。
逆に、多くの人が「失言」だと思ったとしても、言われた本人にとっては嬉しい言葉かもしれない。
そして、仮に嬉しい言葉を言われたからといっても、その人が自分を理解しているとは限らないのだ。
やはりアザのことに目がいきがちだが、結局は、男と女のすれ違いに関する普通の恋愛映画だったように思える。
ものすごく面白いわけではないし、少々湿っぽい雰囲気であるが、作品としては悪くない。
共感しやすい映画でした
登場人物のキャラクターや時の流れがしっかり描かれていて、観ていてわかりやすい映画でした。そのため感情移入がしやすかったように思います。
主人公のアイコちゃんと飛坂さんの関係も「恋ってそう進むよね」と思わせてくれるし、研究室後輩の原田くんの告白シーンは絶品!で、「片想いって切ないよね」と涙。
とても良作だと思いました。
監督、スタッフ、俳優さんの今後に期待します!
松井玲奈って地下アイドル?
日本映画のDNA継承者。作られた人間の不幸(?)として描いている。
残りあと45分男が豹変すると話は面白くなるが。純愛から恋愛成就なんだろうね。違う。
因みにアザは完全に消す事は出来ないが、悩まなくて済む位の消すことが出来る。
しかし、
この表現ではホラー映画と変わらなくなってしまう。
完璧な差別だと思う。
あと、30分何いじけているんだ。あと25分。ほらね♥治るって言っただろ。
結末が見えた。こう言ったアイデンティティを描きたくば、きちんとリサーチをしよう。即刻、治療しよう。治るんだから。
残り20分。そっちか!!!早く終われ。
結局、見た目か?
アザがあって良いなんてそんな慰めはないだろう!!!あと、16分。
後、9分。世の中には見た目だけじゃない障害者が沢山いる事を忘れては駄目だ。
よだかは最期消えて無くなる。宮澤賢治はそれを言いたかった。やっと終わった。日本映画の恥部見たいな話だった。
松井玲奈って、なんのアイドル?地下アイドル?
琵琶湖じゃなくて滋賀県でしよ♥
薄らして眩しい輪郭を描く
アザがあるから感情移入しにくい...それこそがこのテーマかも
「偶然と想像」や「愛なのに」で中島歩が好きになり、お目当てで鑑賞。
監督曰く、飛坂役は中島歩しかいない、とオファーされたそう。
イケメンなんだけど、不器用で天然で、恋愛下手という役をとても自然に演じている。出演作品、全部おなじような役だけど、どれもはまり役である。
作品はというと、全体的によだかの星が意識された作品で、アザとよだか、鷹を意識したダンスなど、一貫性がたもたれていて観やすかった。
そして、松井玲奈の顔のアザ。松井玲奈は映画で観るのは初めてだったけれど、あんまり印象に残らなかった。なによりアザが気になってなかなか感情移入ができなかった。
しかし、それこそが、この作品のテーマだと感じた。自分の中で、いかに見た目が占める要素が大きいかと痛感したのが観終わった感想である。
脚本としては、お決まりで予想のできる展開ではあったが、テーマ性としては良い作品だった。
2023年劇場鑑賞20本目
全体に漂う雰囲気が良かった。疑心暗鬼や嫉妬や自己嫌悪がうまく伝わっ...
悩みへの多様な向き合い方
身近なものに例えたがる
今なお燃え続けるよだかの星。
めちゃめちゃ好きです。予告からいいな~と思っていましたがしっかり上回ってくれてラストシーンは涙腺が緩みまくりました。見た目のコンプレックスを抱える女性に左側から光をあてた良作。
ストーリーはもちろんのこと、キャスティングが素晴らしい。言うことなしです。松井玲奈の雰囲気がアイコに本当にハマってました。そして青木柚がまた良い。告白のシーン男前でした。アイコの左側に惹かれた飛坂と内側に惹かれた原田。どうか原田の恋がいつか実を結びますように。
自分の半分を好きになれないアイコが自らの言葉を紡ぐことでその左側を受け入れてゆく。手術で綺麗になると夢のようなことを言われているのに何故か動揺する。そんな自分自身に困惑する。私は私を愛し始めたから。本当にここで予告の上手さが最大限発揮されている。名前を捨てなかったよだかは星になって今なお青く燃え続けているそうです。
希望に満ち溢れた光のサンバ
顔半分にアザがあるアイコ。
彼女はそのアザをコンプレックスに感じながら、大学院で研究を続けていた。
ある時、アザと共に生きてきたアイコの実体験が本になり、その反響ぶりから映画化の話が持ち上がる
友人の担当編集者を介して、アイコは映画監督の飛坂と知り合い、彼に少しずつ惹かれていくのだが…
思っていたよりも“アザのあるアイコ”の話だった。
アザも本人の個性。
最終的にはそこへ辿り着くが、実際本人がそれを認めるのにはかなり時間を要する。
一つの恋を通して、自己のコンプレックスと向き合い、真っ直ぐ自分を生きていく物語。
小学生の頃、同級生にアザを琵琶湖みたいと揶揄された出来事。
実は注目してもらえたことが嬉しかったが、普段は優しい教師がその同級生に対して「なんて酷いこと言うんだ。」と言い放ったのがショックだったというところがやはり印象的。
自分の顔は酷いことなのかと認識してしまったというリアルで残酷なエピソードが胸に刺さった。
よだかはなぜ死を選んでまでも自分の名前を捨てなかったのか。
宮沢賢治のよだかの星は、恥ずかしながらちゃんと読んだことはない。
ただ、1番読んでみたい宮沢賢治の作品だ。
タイトルの通り、アイコがそれに自己投影されている。
レーザー治療を断り、アザを残して生きていくと決断した彼女。
その決意をした彼女だからこそあそこまでミュウ先輩を救ったわけだし、そんな先輩にメイクとサンバのステップを教えてもらったラストシーンは紛れもなく救いだった。
アザに限らず、コンプレックスを自分の個性だと自認するのはなかなか難しいことではあると思う。
でも、自分を捨てず自分らしく生きて欲しい。
生に満ち溢れたあの屋上でのアイコの舞は観た者の救いになると思った。
今回はほとんど触れないが、恋愛パートも静かで濃密な雰囲気が心地良い。
中島歩の唯一無二の芝居が好きだ。
低音から感じられる重厚感とは裏腹に芯がぶれているような男。
今作でもハマっていた。
脇もなかなか豪華。
中でも個人的イチオシの若手俳優、青木柚。
今作でも強い印象を残していた。
映画としての出来は素晴らしいんだけど、個人的に記憶に残るようなインパクトはあまり感じられなかった。
ただそれで良いと思う。
何かに思い悩んだ時、いつかこんな映画あったな、また観てみようと思えるそんな映画だと感じた。
受容の過程。
可もなく不可もない作品だった感じ。
(not)HEROINEmoviesの2本目。
木竜麻生さん主演の1本目は自分好みで良かったけど、本作はあまり心に刺さらなかった感じ。
大学の研究員。生まれつき顔にアザがあるアイコ。
映画監督の飛坂。
アイコの大学の友達のミュウ。
この三人が軸となり展開するストーリー。
アイコに興味を持ち、彼女の映画を作りたくなった飛坂。
最初は映画化に躊躇していたアイコ。
飛坂の過去の作品に共感し映画化を承諾。
次第に彼に好意を抱いていくストーリー。
アイコ役の松井玲奈さん。
初めて観る女優さん。
いまいち特徴が無いんだけど独特の雰囲気を持った役者さんの印象。
キャラ的に影を持った役なので、他の作品を観たくなった感じ。
本作は恋愛映画の認識だったけど、ミュウのある事故を切っ掛けにしたアイコの成長物語だった印象。
アイコと飛坂のデートのシーンがなかなかリアル。
久し振りに手漕ぎボートに乗りたくなる(笑)
一緒に料理を作るシーンも良かった。
鑑賞中、「よだか」の意味が解りナイスなタイトルだと思った。
アイコの顔のアザ。化粧すれば隠せるだろっ!
って思いながらずっと鑑賞してました( ´∀`)
とてもいいもやもや感
独特な雰囲気がある。原作は島本理生なのか。安川監督はDressing upは観たことがあるが確かにこんなもやもやな感じはあったかも。もやもやはいい意味で。
もちろんもやもやは主人公の設定でもある。肉体的コンプレックを抱え、それが故に子供時代に一瞬だけ優越感を感じ、その光が常識的親切心から消えたりを経験し、そんなもやもやした思いを抱えて大人になった女性。それを松井玲奈が好演。かなり適した配役。凛としてまっすぐ、でも常識と非常識、好奇の目でも見られきた中でのプライド、そして人を見る目、など独特なキャラクターには会っていた。そして映画監督を中島歩のへなへなした日常性が包み込む。
もやもやはセリフがないところの空気感。もやもやというかふらふら、というか、そのキレぎわにパッと差し込む何か。部屋を漂うカメラの流れでふわっとキスに至るところや、撮影現場で主演女優がさっと入り込むところとか、そして最後の雲間の奥の光に手を向けて踊り出すところ。
痣は結局とることもできるし、化粧で隠すこともできることになった。でも痣と痣があるからこその視線というものをなくして生きていくことはないだろうそのもやもやした、でもその先に光がある感じで貫かれた映画だった。
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