「【細野晴臣さんのこと】」SAYONARA AMERICA ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【細野晴臣さんのこと】
僕は、細野晴臣さんの力はしなやかさだと思う。
ちょっと、あらぬ方に向かいかけた時に、ニュートラルな所に僕を引き戻してくれるようなしなやかな力。
それは、細野晴臣さんの音楽の力だ。
ビルの屋上で、細野晴臣さんが語る心配事は、過度にぶれ過ぎた社会に対する心配であると同時に、余裕を持って少し考えてみようよと言っているようでもある。
落ち着いて聞けるというか、とにかく、しなやかで心地良いのだ。
この作品は、映画を通して細野晴臣さんのLIVE音楽を結構聞かせてもらって、良かったと思っている。
最近はLIVEは、 Billboardで結構席を空けてとかだったので、なんか、映画の中の、あの落ち着いた人達が観客で、大騒ぎはせずにガヤガヤとか、良いなと思ってしまう。
日本に、BTSみたいなアーティストが出てこないと、音楽シーンを嘆く人を見たことがある。
まあ、ナショナリストみたいなもんで、気にしてもしょうがないけど、僕は、細野晴臣さんがいるじゃないかとか、坂本龍一さんがいるじゃないかとか、小澤征爾さんがいるじゃないかとか、佐渡裕さんがいるじゃないかとか、上原ひろみさんがいるじゃないかとか思ってしまう。
それに、川島さんは亡くなったが、ブンサテだって、ギタリストのミヤビさんだってそうだ。
日本には、BTSはこれからも出て来ないと僕は思うけど、それでも、何が問題なのかと考えてしまう。
最近のBunkamuraのル・シネマでやってるヴィム・ヴェンダースのレトロスペクティヴで、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が上映されてて、音楽には、力があると思った。
映画にもあると思う。
細野晴臣さんにも、しなやかなチカラがある。
そして、それは、今、僕たちに最も必要なチカラだ。