「犬堂監督のトークを聞いて☆増えました」名付けようのない踊り osincoさんの映画レビュー(感想・評価)
犬堂監督のトークを聞いて☆増えました
目黒シネマにて『アメリカン・ユートピア』との二本立て+犬童一心監督のティーチインイベントに行ってきました。
田中泯さん、カッコいい。語彙力アレですけど、ほんとに。ダンスのためのトレーニングをするのではなく、畑で鍛えた体で踊るとかね、ほんと憧れます。使える体、本能的なしなやかさ、存在美。
下駄や素足も似合うけど、コンバースもむっちゃ似合うというね。
自分がしたいのも、ジャズのような施術で、その時のその場でその人との関係で生まれる、正にセッション。場踊りならぬ、場セラピーとでもいいますか。
コンティニュアムをするようになってから、余計にその感が強くなっています。目指すはシームレスで流動的な体。。
そして、上映後の犬童一心監督のトークがとっても良かったです!
「こういう人がいてすごいでしょっていうドキュメンタリーにはしたくなくて、ただ踊りの映画が撮りたくて。もともと踊りの映画が好きなんです。」
そういうとこ好き。そういうスタンスだから泯さんも撮らせてくれたんじゃないでしょうか。
観客の質問にもたくさん答えてくれたのですが、あまりの回答力の高さに、思わず私も質問してしまいました。
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Q、泯さんの言葉があって、そのイメージをアニメーションとすり合わせていくのは大変な作業だったのではないですか?(山村浩二さんがイラストレーションを担当している)
A、とりあえず2年間動画を撮りためて脚本を考えたのだけど、その時すでにアニメーションのイメージがありました。山村浩二さんは大学からの付き合いなんだけど、泯さんも山村さんも、似てるんですよ。面倒くさいんです、2人とも。自分ならもっと簡単に済ませてしまうようなことも、あえて面倒くさいことを選んでまでやると言うところがあって。
一部、シネカリという技法が使われているのですが、シネカリってやり直せないんです。直接フィルムに傷を付けて描きこんでいくので、失敗したら終わり。それが泯さんにも繋がるという事で、どうしても山村さんがやりたいって。
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ものすごいリスクと時間をかけて作られたのを知ると、また印象が全然違います。
今のCGはすごいなー、かっこいいなぁ、で終わってた所でした。
本来ドキュメントなら、インタビューがあるものですが、この作品にはありません。
泯さんは、今でこそ芸能人ぽくなってきましたけど(←監督の言葉を拝借)、本来は経歴を並べるのも好きじゃないし、自分で教えたり、学校作れみたいな話を「嫌悪の極み」と言ってしまうような人なので、映像を残せた犬堂監督との信頼関係はすごいと思います。泯さんも犬堂監督をリスペクトしているのがわかります。
田中泯さん一白水星(酉年)×犬堂監督 四緑木星(子年)
うんうん、なるほど、合ってます。
泯さんの持ち味を殺さず、邪魔をせず、たんたんと撮り溜めた2年分の動画から、魅力的な表情を厳選し続けた監督も、充分面倒くさい人だと思いますよ(褒めてます)!!
実際にメゾン・ド・ヒミコ後の15年前から泯さんの踊りは見続けていたそうですから。
サインをもらいながら(ミーハー笑)、もう一つ質問しました。
Q、泯さんが真っ赤なハイエースで自然道を走ってくる場面は、待ち構えて撮ったんですか?
A、あれは僕たちが先に到着してたから撮れて、西部劇をイメージしてるんです。笑
と、答えてくれました!
あーーー、ずっと聞いてられる!笑
ちなみに、公式サイトの大泉洋さんとの対談はめちゃめちゃチャーミングな泯さんが見られるので、是非見てほしいです。
ちなみに、私は本編観た後に見て正解でした。