「ウクライナ情勢に通じるものがある」チェチェンへようこそ ゲイの粛清 BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)
ウクライナ情勢に通じるものがある
好きになった相手が同性だったという理由により、迫害を受けるLGBTの人々。
彼らが暴行を受ける様子は、支援者達が(恐らくは命を賭して)守ってきた数々の映像記録として残されていましたが、思った以上に残虐でした。
殴る、蹴るはもちろんのこと、石を振り落とす、挙句の果てにレイプする。
自分の中で一番ショッキングな映像だったのは、男性の被害者が男性の看守らしき人物にレイプされている場面でした。無論、上半身から上しか映っていませんでしたが……。
迫害を受けるのはチェチェンの人間だから、というわけではなく。チェチェンに入ったロシア人も同性愛者と見なされたら同様に拷問を受ける。
ただし政府高官がズブズブの関係にあるので、いくらそこで人権侵害だと声を上げようが、何にも変わらない。
これ、本当に今のウクライナ情勢におけるロシアの内部と同じだと思います。
体制に反抗する者には粛清を。
それが当たり前のように罷り通る国。
いや、今回の登場人物の1人の言葉によれば、憎むべきは国ではなく、権力を握った人間の蛮行ということでしょうか。
当たり前のことが、当たり前と言えない国に何の価値があるのだろうと考えてしまう。
LGBTQの当事者のみならず、全ての人が観るべき作品。
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