「一番オイシカッタのは、ジョナ・ヒルか?」ドント・ルック・アップ osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
一番オイシカッタのは、ジョナ・ヒルか?
それにしてもアメリカ人は、おバカやるにしてもスケールとクォリティがハンパない。
やはり、この作品は大きなスクリーンで観た方がいいと思うが、友達など複数名で行くことをお勧めする。
何故なら笑っている客が殆どいないからだ。というか、私の場合、夜の一番遅い上映で観客も少なかったが、笑ってるのは私一人だけだった…
それも笑うに笑えない内容だったゆえ、殆ど失笑だったのだが、それでも場内で誰も笑っていないと結構目立つものだ。
一人でも平気で笑える人は問題ないが、そういうのダメな人は必ず誰かを誘った方がいい。
それくらい本当に笑うに笑えない内容(実際にトランプ政権下では現実に有り得た部分もあり)のブラック・コメディなのだが、あれだけの徹底したバカバカしさを本気でやりきってしまうアメリカ人たち(イギリス人やオーストラリアの人もいるけど)が何とも最高で羨ましく見えた。
あれは本当にオールスター・キャスト・ムービーの最適解だと思う。
出演者達も皆んな今のアメリカ(というか世界全体?)には相当な危機感を感じてるのだろうが、あそこまで振り切ってしまうのは、本当にスゲエ〜としか言いようがない。
日本でも、ああいう気合の入ったバカな映画を誰か作ればいいのに。
たけしなら出来そうな気もするが、もう歳かな?(昔、山本政志との対談で、オールスターの役者を皆んな騙してシリアスな太平洋戦争の連合艦隊モノを撮った後、編集で一大コメディに仕上げたいとか言ってたけど、そんな情熱もうないか。あの敗戦における日本の組織文化のバカバカしさは、現在にも通じるものがあるんで、是非やって欲しいけどな)
それにしても、メリル・ストリープも、ケイト・ブランシェットも流石の一流の振り切り具合で最高だったし、サンダーバードの人形みたいな眼の動きをするIT長者を演じたマーク・ライアンスの芝居も(イギリス人としてのパロディか?)かなりヤバかったが、なにげにジョナ・ヒルのダメさ加減が一番良かった。
ああいうダメ息子キャラをあんなアホな感じで笑わしてくれる役者は、なかなかいない。本当に最高のコメディ俳優だ。
ラストも、ああいう感じでジョナ・ヒルが締めてくれると、やっぱりアメリカの際どいコメディって、滅びないなあ〜と思わず一人で笑い声を上げてしまったのだった。