「評価のベクトル(方向性)すら向けずらい映画…。」麻希のいる世界 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
評価のベクトル(方向性)すら向けずらい映画…。
今年83本目(合計356本目/今月(2022年3月度)25本目)。
他の方も書かれていますが、どう評価するかで5.0と1.0が極端に入り混じりそうな状況です。
序盤こそ、2人の女子高生のお話(音楽のお話など)が出るので、いわゆるシスターフッド系の映画なのかな(かつ、アクションものでもない。2021年の「プリテンダーズ」などが該当)…と思いきや、まーるで関係のない男子高校生が出てきたかな…と思ったら、お話が極端にあっちこっち飛びまくる…というまるでバラバラな状況。
おそらく、トークショーやパンフレットなどあれば(こちら(シネマート)にはなかったです)わかったのかもしれませんが、何を述べたいのか…という「述べたかったであろう思想」が見えづらいです。強いて言えば、「限られた命(持病を持っている。このことは予告にも書いてあるのでネタバレ扱いしません)の中で、最大限何ができるか、そして相手は何ができるか」といった重いテーマを扱ったのだろう…とは思うのですが…。おそらくそれが正解筋ではないかと思う一方、大人の営み(一般指定なので、直接的な描写はなし)が出たりと、何がどうなっているのかわからない謎展開が後半で、ここでパニックになる人が続出しそうです。
典型的な「割引などきかなくても、デザイナーの方とトーク(まぁ、このご時世ですが…)できるようなときに見に行くべき映画」なのでは…と思います。個人だと6割かあって7割くらいの推測しかできないです。
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(減点0.2) 主人公(実質、2人のどちらを主人公と取るかは難しいですが)が自転車屋?でバイトをして、さらにボウリング場でもバイトしているという趣旨のシーン。
民法上はお互いに2週間前解除で、さらに民法の特別法と言える労働基準法などでは「使用者から言う場合は原則1か月前に言え」と強化されていて、一般的な会社のルール(社則)ではこれにならって「1か月前に」ということが多いです。が、民法の2週間を持ち出されると相手はなかなか抵抗はしづらいです(基本法なので)。
ただ、なぜかしら「2週間もたっていないのに」なぜかボウリングにいって履歴書を出してうんぬんという話は、反対解釈すれば、バイトは当事者で話し合って即日退職の扱いにしたのだろうとは思いますが、それは書かないとわからないです。
(※) バイトだといっても、労働基準法は適用されます。それを話し合って「労働者側に有利になるように変えることまでは」禁止されていない、というだけの話です。また、アルバイトだからといって好き勝手やってよいということは「労働者側も」「使用者側」も意味しません(労働基準法が働く以上、その適用を受ける)。
(減点0.2) そのあと、自転車を2人でのっていて、「あのーすみません~」の後のところ。
まぁ、いわゆる補導の範囲ともとることは可能ですが、あの映画のように弁護士も誰も来ず(来させず)(現在では当番弁護士制度というのがあります)、むりやり拇印だけさせて帰らせるというのは「現在の人権感覚として」怪しいです(かつ、この映画、なぜかしら地名がまるで出てこず地名の特定がしづらいですが、富士山がどうだのというバス停が出るあたりを見ると、静岡県?)。そこまではとは思いますが、都道府県の警察も「ちょっとまってくださいよ」レベルでしょうねぇ。
(減点0.2) この自転車の話は、最後の最後で「お話の収束のとき」にもまた登場します。しかしここでも自転車は正しくない使われ方がされています。
勝手に他人の自転車を持っていくのもアウトですが、その持っていかれた自転車が自分のだ、と思って勝手に取り戻したりすると、別の問題がおきます(占有回収の訴え/占有訴権)。とにかく、自転車という乗物は日本では非常にメジャーな乗物であり、これに関する法律は色々ありますが、民法もかかわってきます。
要は「自力救済しちゃダメ」っていうことで(社会が混乱します)、なぜこういう部分をちゃんと書かないんだろう…とは思えます(直接的な描写はないが、ないために、「盗人の持っていったものなら盗み返してもいいだろう」と思う人がいますが、それは違います)。
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