「しがみついてみた夜は、朝溶けてゆく。」ちょっと思い出しただけ そうすけさんの映画レビュー(感想・評価)
しがみついてみた夜は、朝溶けてゆく。
てるちゃんの誕生日を、年を戻しながら映し出していく
てるちゃんとようちゃん、2人それぞれがそれぞれを生きてゆく冒頭。別れ、愛の最盛期、交わりあって、そして出会う。だからこそ出会いの劇場のシーン後の、2人で路上で踊る場面でこれまでの軌跡を在り在りと思い出してゆく。
ラストシーン、そんな手のひらにまだ少し握りしめてるような思い出を、朝陽に少しずつ溶かしていく。
ただ、ちょっと思い出しただけ。
鑑賞はもう何度目か分からない。けれど久しぶりだった。
鑑賞後、ベランダでいつものようにたばこを吸った。
いつもより、深く煙を吸い込んだ。
肺がその深さを抱きしめた。
見下ろす駐車場の完全さを嘆いた。
それでも、夜は蒼かったし、思い出す記憶と美しく泥沼な現在が、意味ありげに交錯した。
邦画でいちばん好きです
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