「確かに男性目線ではある」ちょっと思い出しただけ wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
確かに男性目線ではある
序盤、ちょっと入り込みづらかったが、最終的には引き込まれた。
普通に撮れば、よくありそうな小さな恋の話で、見やすく共感しやすい一方で、泣けるほどの感動もカタルシスも強烈なメッセージもないストーリー。
それを、各年の誕生日を遡っていくという演出や、その度に登場する脇役による伏線のようなサブストーリーが彩りを与えて、時間の経過と時代の変化を効果的に使うことで、よくある普通のドラマを大きく超えた味わいに仕上げた作品。
タイムラインをいじる映画というと、まずパルプフィクションがまず思い浮かぶのだが、まさにあの映画同様にストーリーそのものにはそれほど特筆するような味はない。演出上仕方ないのだが、恋愛ドラマ色の濃いシーンは私には痒かった。
ただ、それを適切な距離感から描くという手法は成功しているように感じられて、まさに昔付き合ってた子を思い出す時のような、何とも名付けようのない感情を味わえた。
また、個人的には伊藤沙莉の魅力が最もよく出た映画なんじゃないかと思っていて、彼女のキャラクターや演技がこの作品の魅力を倍増させていた。
他の方のレビューで、これが男性的だという批判があった。言われてみれば、どこか感傷的な色合いになっている点や、女性が次に付き合った奴とあっさり結婚したように見える感じ、自分はあまり前に進めていない気がしている感じは、確かに男性っぽい目線なのかもしれないとは思った。
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