「今、この映画を作る意味とは……?」ちょっと思い出しただけ たけぱんさんの映画レビュー(感想・評価)
今、この映画を作る意味とは……?
松居大悟監督のTwitterで「そろそろ上映終わり始め」というのがあり、伊藤沙莉さんのファンでもあり、で見に行きました。
松居大悟監督と言えばラジオ「ジャンプオーバー」、舞台「みみばしる」。その監督の意欲作、という触れ込みなんですが……何の、どんな意欲が?
なんて考えながら見ていました。
キャスティングした俳優を使って恋愛映画を一本撮ってみた?伊藤沙莉の松井監督なりのイメージで恋愛モノを作ってみたかった?
正直、時系列を再構成してなければ、知り合いの子供のビデオを見せられているのとあまり変わらない。
場面の始まりはいつも時計の表示で、年がなく曜と月、日、時分の表示で月と曜が英語なもんだからさらに分からなくなっており、あれ?日付同じじゃない?あ、でも曜日が違うから前年なのか、なんて思いながら見ていて。
中身は「フツーの恋愛ですか」みたいな感じで。ヒロインが女性タクシードライバーというのが多少珍しいかもしれないけれど。
最終的にはニューヨーク屋敷と伊藤沙莉が一緒になって、子供が生まれました、というお話。そこに元カレ(池松壮亮)との思い出を「ちょっと思い出しただけ」というお話。(愛着が湧かなすぎて役名じゃなくて役者名で記述)
序盤に安斉かれんっぽいのが出ててエンディングで「安斉かれん」だったー!という答え合わせと、
中盤に出てくるタクシードライバーの名前が思い出せなかったのがエンディングで鈴木慶一(ムーンライダース)だー!って答え合わせができたのが楽しみだったくらいの映画でした。
あと、永瀬正敏を出して別の場面で「愛だよ、愛」(永瀬正敏出演のカクテルパートナーの「愛だろ。愛っ」)に引っかかってるのかなー、と思ったくらいですかね。
役者さんは達者でした。最低点0.5+役者さんの達者さ(意外にもニューヨーク屋敷も)0.5+伊藤沙莉くっそかわいい1.0で2.0としました。逆に言えば4.0-脚本・構成2.0と言えるかも。
積極的な彼女とぐずぐずの彼氏の再現Vを2時間見せられるのは辛かったわー
結局のところ、この映画を通して自身の恋愛体験から甘酸っぱい空気や香りが出てきて思い出に浸れる人は高評価、不幸にもその下敷きとなる体験がない人はピンと来ずに低評価になるのかもな、と思った。前者と後者で物語に対する感情移入度が天地ほど開きがあるものね。