「誕生日。朝焼け。だから、ちょっとだけ感傷に浸ってみたりする。」ちょっと思い出しただけ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
誕生日。朝焼け。だから、ちょっとだけ感傷に浸ってみたりする。
ジム・ジャームッシュのナイト・オン・ザ・プラネットに触発された物語。ウィノア・ライダーのロサンゼルス編はもとより、ヘルシンキ編(不幸のその日の客)だったり、ジャームッシュ繋がりの永瀬正敏がパターソン的にベンチに座ってたりしてまして。フフフってなるw
ゆったりとした進行で、誕生日を「年めくり」で巻き戻して行くと言う構成。115分の長さは全く感じません。
物語りの軸は恋愛。背景に世相らしい世相も思想らしい思想も無し。ジャームッシュ偏愛脚本で、サクサクと場面場面をこなして行きながら、登場する人物の人物像と関係性、その時に置かれている環境を描き出します。
コレがですね。舌足らずなんですよ、脚本としては、多分。松居大悟監督って、もっと「濃い」印象だったので意外だった。何にしても、その舌足らずに持って来て、このコンビ。伊藤沙莉と池松壮亮と言う、子役から成人した2人が演技で補完してる訳で。
「夢を追い掛ける男」と「愛と現実に折り合いを付けようとする女」。地に足が着いてる女の子役が伊藤沙莉にドンピシャなのと、優しく恋愛には受け身な男が池松壮亮にも合い過ぎ。
ここ数年の東京テアトルでは、コレが一番好きかも。
ちょっと思い出しただけの女。夢を捨てきれずに折り合いの付け方も見つからない男。ビターで塩っぱい夜明けが、コレまたナイト・オン・ザ・プラネットでニヤってなった。
良かった。かなり。
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