「愛しくて切ない恋愛をちょっと思い出すとき」ちょっと思い出しただけ まだまだぼのぼのさんの映画レビュー(感想・評価)
愛しくて切ない恋愛をちょっと思い出すとき
現在から遡るかたちで少しずつ語られていく一組の男女の出会いと別れ。終始ナチュラルで、過剰な演出はなく音楽の差し込みも少ない。だからこそ胸に響き、主人公たちと一緒に想いを馳せることができます。
クリープハイプが奏でるエモくて切なくてイタくて愛しい世界観も相まって、静かだけど感情を揺さぶられる。
また、ここ最近多かった「あの頃を懐かしむ」系要素が無い。あえてシンプルにして余白をもたせ、良い意味で分かりにくさを残した演出に好感が持てましたし、とても雰囲気のある作品なっています。
色々好きなところはありますが、特にタクシーの運転手さん(伊藤さんではない方)の気遣いのシーンが印象に残りました。
一貫して何気ない日々の暮らしと機微が丁寧に重ねられていきますが、これによってラストシーンがとてもグッとくる。エンドロールでは、すごく好きだったけど上手くいかなかった恋愛を、ふと思い出す瞬間のなんともいえない感情を思い出していました。
心に染み渡る良い映画。また好きな作品が増えました。
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