「ちょっと思い出しちゃいました。」ちょっと思い出しただけ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと思い出しちゃいました。
人生の区切りを迎えた頃やちょっとした弾みで思い出すあの頃。「こんな事、、、あったなぁ」って。そんなふとした時、脳内に瞬間的に展開される記憶を見せてくれる本作。思い出話なのにセンチメンタルに、ノスタルジックに、ドラマティックに観せてくれます。良いですよー。ただ、単なる思い出話ストーリーじゃないってところがミソだと思いますーー。そこが良いですねぇ。
誰にでもありそうな恋愛の思い出話なんだけど、今思うあの頃、あの頃は思いもよらなかったであろう今。人間誰しも先はわからないけど、過去があって今があるってことは間違いないのです。人生を歩いていれば誰かと出会い、すれ違い、想いが重なり、思いがすれ違い、価値観の相違・・・そんなことの連続です。そんな人生の一部を工夫ある演出で豊かなドラマとして仕立てられたんじゃぁないか?って思いました。よくある話なのになぁ、不思議だなぁ。おもしろんだよなぁ。
ラストはなかなかの締め方をしてくれます。おー、そうくるか!って感じ。でもそれがこの作品のテーマそのものだったのではないかなぁ?って。三十路あたりで考えるよなぁ人生。シンプルだけど、普遍のテーマだったのではないでしょうか。
彼らには夕陽はどう見えていたのだろうか?同じ夕陽が。
輝いていた昼間の太陽を思い出してるのか?
今日とは違う輝きの朝日を待ち侘びるのか?
考えすぎでしょうが、意味アリアリ(と勝手に思ってます)のあのシーン、好きだなぁ。
芸達者の役者さんがたくさん出てくるのも楽しみの一つです。よくこんなに集められたなぁって。それぞれが良いアクセントになっているんですよね。演者さんの力もあって作品に厚みが生まれている気がしました。主演二名は言わずもがなです。個人的には退院後家まで送るタクシー内の演技がよかったなぁ。あの空気感、いいわぁ。
願わくば、葉ちゃんのバックボーンをもっと見せて欲しかったなぁ。彼女の動機に結びつくものを知りたかった。あとは、「会ったことありましたっけ?」に関係する一連のエピソード、要らなかったような(笑)まぁいろんな事情があるのでしょうが・・・・それよりも描いて欲しかったことがあったなぁって思います。それと、個人的には某お笑い芸人さん自身がいつも言っていたことをセリフにしちゃうの、嫌だったなぁ。映画の中はリアルな世界と分断して欲しかった。冷めちゃうから。
けどけど、良い作品でした。恋してた人、してる人。あの頃はよかったなぁ、、なんて思い出が1つでもある人・・・たくさんの方に見てほしいなぁ。
個人的には退院後家まで送るタクシー内の演技がよかったなぁ。あの空気感、いいわぁ。
ほんと!あのイタイタしい、いたたまれない感じ!
あの空気感を丁寧に掬って見事に映像化していましたね。
こういう感性を大事に作っているところが素晴らしいです。