劇場公開日 2022年2月11日

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「「タクシー」と「バレッタ」そして、時間軸を遡る巧みな演出に見事にやられた」ちょっと思い出しただけ あささんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「タクシー」と「バレッタ」そして、時間軸を遡る巧みな演出に見事にやられた

2022年2月15日
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泣ける

難しい

“エモい”って言葉が最高に似合う作品だ。
思ってた以上にいい!同じ日に見たウェストサイドストーリーより全然いい!なんだろう、自分の琴線に触れてラストは涙が溢れた。

生きていれば誰にでもある“ちょっと思い出す”こと。とりわけ若い頃の恋愛、元恋人との思い出はちょっとしたことをきっかけに、例えば彼の誕生日とか、思い出の場所などを通ったり聞いたりするとその瞬間、瞬間で思い出す。

物語は2021年7月27日東京オリンピックが開催されているコロナ禍から2015年7月27日まで遡る。7月27日(水)で止まったままの時計や、電気のスイッチがタイムマシーンのようなものとなり、ごく自然に物語は過去へ過去へと遡っていく。これ、意識して見ていないと気づいたらあれあれ?ってな感じになるが、マスクの有無で分かるかと。

愛する人と過ごす「時間よ止まれ!」と願う幸せなひと時はあっという間に過ぎていく。だけど時は淡々と過ぎ去り、ときに残酷に、その現実を突きつける。そして私たち人間の感情もナマモノ。常に移り変わり変化し続ける。
対して止まったものとして描かれているのは、照生くんの部屋にある止まったカレンダーの時計とベンチで妻を待ち続けるジュン。
人も、街も変わりゆく。だからこそ、その時、その瞬間を大切に、伝えたい言葉は伝えようねっていうメッセージ性が感じられた。
それにしても脇役に主役級の大物たちが勢揃い!池松壮亮と成田凌というよく似た二人が出演するのもちょっと嬉しい。

※以下ネタバレになります

タクシー運転手をする葉が長髪の照生に誕生日プレゼントでバレッタを贈った。
「タクシー運転手」って今は女性のドライバーも沢山いるが、圧倒的に男性の仕事というイメージがまだまだある。また「バレッタ」は女性の髪の毛をまとめるアクセサリーとしての認識があるが、本作でその固定観念を取り払ったことに称賛を送りたい!

本作のラストには『そうきたか〜!』って。
みーんな何かしら折り合いをつけながら、生きている。
ラストシーンは共感しまくりだ。わたしが女性ってのもあるのかしら?適齢期に結婚して子供を産んでっていう、惰性と妥協と少しの計算。適齢期の、特に子供が欲しいと願う女性の場合はとりわけその傾向が少なからずあるんじゃないかな。本作の葉のように、私だってそうだった。
高校生だった和泉ちゃんは大学生となり、中井戸さんの意中の相手も一気に年上の男性に変わり、照生くんの仕事も変わって、葉のタクシーの車も変わる。

変化してゆく、人生ってそんなもの。誰かと出会って、別れての繰り返し。二度と同じ瞬間なんてないんだから。だから大切に大切に毎日を生きたい。

マキ
2022年2月25日

こんにちは😊
はい。超好きです。コレ。
色んな種類→①と家族愛になると超難問になりますね。笑

黒リネン
NOBUさんのコメント
2022年2月16日

今晩は
 コメント有難うございます。
 「パターソン」は劇場では2度観ました。
 1度目は少し離れた前列の席に座っていたおじさんが、途中で鼾を掻き始め、西三河の劇場でしか出来ない(何しろ、公開二日目の土曜日の初回でも一割の入り・・。)画面を見つつ横移動し、頭を引っぱたいて・・じゃなくって”寝るんなら外で寝てね。”と優しく言って起こして上げた事と、ゴルシフテ・ファラハニ:恥ずかしながらの初見でした。)の余りのエキゾチックな美しさに”羨ましいぞ!アダム・ドライバーじゃなくってパターソン!”と思った事と、何気ないルーティンの日々を繰り返す中での、微妙な違いや、様々な双子の姿がとても面白き作品でした。
 2度目は、今日も行った会社から車で5分のミニシアターで昨年、何故かかけてくれて”やっぱり面白いなあ”と思った作品です。
 (ゴメンねと働く仲間に言いながら・・。(言い訳:勿論、観終わったら会社に戻って仕事しました・・。私は、”ザ・スミス”のファンなので。で、リクエストしたら”その映画”をかけてくれたので・・。)
 で、今作を観て、あの永瀬さんが奥さんを亡くして、”妻が来ますから・・”と公園のベンチに座っているシーンを観て”パターソンじゃない!”と思った次第です。では、又。

NOBU
きのこさんのコメント
2022年2月16日

あささんコメントありがとうございます
誰にでもある。でも自分には大事な思い出ってのがたくさんの人に刺さるんでしょうね。
オラオラと刺しにくるのではなくいつの間にか刺さっていた(怖い表現ですが笑)
そんな感じでした

きのこ
こころさんのコメント
2022年2月16日

あささん
コメントへの返信有難うございます。
伊藤沙莉さんへの注目度が更に高まりそうですね ✨
いいトコもダメなトコも知ってるぞ的な会話で、仲の良さが画面からもしっかり伝わってきました。

こころ
グレシャムの法則さんのコメント
2022年2月15日

いまさら⁈って全女性から叱られそうですが、子どもを授かりたい、という思いのある女性の場合、肉体的な適齢期に付き合っている男性が、生涯にわたるパートナーとしてはちょっとムムム⁉️であっても結婚に踏み切る(これはある種の妥協ということになる)という選択肢が現実的にはある、ということですよね。
そう考えると、男には肉体的な適齢期なんてないようなものなので、身勝手としか思えないことをしでかす輩が多いのかもしれない。男としては、なんだか申し訳ない気分になります。

グレシャムの法則
NOBUさんのコメント
2022年2月15日

今晩は
 今作、余り話題になっていませんが(愛知県だけかな・・。ガラガラでした・・。)私はとても面白く鑑賞しました。
 ”バレッタ”は知らなかったのですが、上手い小道具&キーとして使われていましたね。
 松居監督のジム・ジャームッシュ作品(「ナイト・オン・ザ・プラネット」&「パターソン」)へのオマージュテンコ盛りだったのも、嬉しかったです。では。

NOBU
こころさんのコメント
2022年2月15日

あささん
私も心情の描き方の巧みさ、リアルさに唸った一人です。あささんのレビューも素敵ですね。
先日のフジTV「ボクらの時代」に松井大悟監督、尾崎世界観さん、池松壮亮さん、の御三方が出演されていたのですが、旅行に行かれる程親しくされているようで、それぞれの才能が見事に共鳴して出来上がった作品といえるかも知れませんね。
伊藤沙莉さん演じる葉の魅力が、この作品を一層輝かせていました。

こころ