劇場公開日 2022年2月11日

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「トキメキへの時間旅行」ちょっと思い出しただけ bionさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0トキメキへの時間旅行

2022年2月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 別れてしまった二人が、ある邂逅をきっかけに出会った頃までの記憶を遡っていく。このフォーマットは時間軸がトキメキの方向に向かっていくため、互いに重荷となってしまった愛情のコリが徐々にほぐれていく。照生と葉が、自然な磁力で惹かれ合い始めるあの場所にたどり着くと、不思議な気分が湧き上がってくる。

 自分のとっておきの思い出が、照生と葉の時間旅行にシンクロするかのごとく蘇ってきて、二人のラブストーリーと自分のラブストーリーがオーバーラップする。それは、現実とかけ離れたキラキラとした恋物語ではなく、等身大のラブストーリーを個性豊かな俳優陣が彩っているからではないかと思う。

 タクシーという空間は、乗客は気が緩むこともあって、素の自分をさらけ出してしまう。その空間に伊藤沙莉がとてもフィットする。独特にハスキーな低い声での会話劇は、飽きることなく見ていられる。

 國村隼、永瀬正敏、成田凌など主演級を演じる俳優達が脇を固めているが、自然体で楽しそうに演じている。脚本オリジンのキャスティングで実力が伴った演者が集結した作品は、見ていて気持ちがよい。こういう作品をもっと見たいね。

bion