劇場公開日 2022年2月11日

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「永瀬さんだけ進んでる」ちょっと思い出しただけ せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0永瀬さんだけ進んでる

2022年2月13日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

タクシードライバーをする葉と舞台の照明のスタッフをする照生2人の恋を徐々に遡りながら描いていく話。

ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』から尾崎世界観が「ナイト・オン・ザ・プラネット」の曲を作って、さらにその曲から今作が生まれてるので至る所にジャームッシュ要素がちりばめられてて良かった!

まず、葉のタクシーに乗ってくるお客さん達は『ナイト・オン・ザ・プラネット』にも出てくるお客さんを明らかにモチーフにしてる人が沢山いて、酔っ払い3人のおじちゃん達はヘルシンキとパリ(酔っ払いが運転手に怒られる)のミックスだと思うし、明らかにロスのウィノナ・ライダーとジーナ・ロランズな伊藤沙莉と高岡早紀。

告白する時に背中を押してくれるタクシー運転手のおじちゃん、タクシー運転手の葉が運転せずに乗ってるというシュチュエーションと、やたらゆっくりな運転とあの間の抜けたような雰囲気は絶対ニューヨークの移民のタクシー運転手オマージュ。葉と照生だけじゃなくて、タクシーに乗り込んでくる色んな人との絡みもちゃんと描いてくれてたの良かった。

あとは、基本的には同じ日照生の誕生日を1年ずつ遡っていく話だけど、公園のベンチで妻を待ってる永瀬正敏さんだけは時間が進んでいるようにも見える(ずっと奥さんを待ってて、やっと会えたっていう話に見える)仕掛けが私はすごく好きだった。この時間を超越している感じってジム・ジャームッシュっぽいなと思った。

『ナイト・オン・ザ・プラネット』も同時刻に世界各地で起きていることを描きながらも、陽が沈む時に始まり陽が昇るところで終わってちゃんと時間は進んでる。この映画も過去の同時刻を描いて、毎回家を出る様子しか描かれなかった照生が最後にはちゃんと家に戻ってくる。昔の恋を回顧するというエモにひっぱられそうになるけど、この不思議な時間の旅の雰囲気が良い。

せつこん
momokichiさんのコメント
2022年4月18日

この映画も過去の同時刻を描いて、毎回家を出る様子しか描かれなかった照生が最後にはちゃんと家に戻ってくる。

なるほど!最後だけ逆方向なのに「ん?」となったけどそういう企図か!ありがとう!

momokichi