「生きることを丁寧に映していた」ちょっと思い出しただけ tc matさんの映画レビュー(感想・評価)
生きることを丁寧に映していた
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ああまた良かったころの過去を振り返る系恋愛映画かという気持ちと、松居大悟×池松壮亮×クリープハイプを久しぶりに見られることへの期待と、このタッグなら何か世に挑みかかる要素があるはずという願いを抱えてTIFFで鑑賞。
観られて本当によかった。
主人公達の日常のルーティンを映し、街を映し、そこに生きる人を映し、やがてそのルーティンが愛しい過去から連なるものであったことを知る。人生がふと交差したり離れたりして、生きていれば出会い直すことだってできるよなと思う。
生きている、そのことを説教くさくなく感傷的になりすぎず、リズミカルにコミカルに、ゆっくりと描いている映画。そして台詞が美しくて出てくる人達が可愛く、映像が練られていて(そのように感じて)、映画のロマンが詰まりに詰まってた。
池松壮亮さんと伊藤沙莉さんの二人はやっぱり素敵。伊藤沙莉さん演じる、タクシー運転手の葉の女性像が男性監督のフィクショナルな妄想に堕していなくてかっこ悪さも込みでかっこいい。池松壮亮さん演じる照生は、目に涙をたくさん溜めてもそれを落とさず零さないことに照生という人を見た気になれた。
一体過去は誰の目線なのか、とか、そんなことはどうでもいい。公開されたらまたこの映画に出会いたい。
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opp系男子さんのコメント
2022年2月12日
言語化するのが上手くて、すごくしっくりきました。
まさに出来事と出来事の間に介在するのがルーティンであり、そこから描かれる為人を垣間見ていたといった感じでした。
私もルーティンというワードを引っ張り出したかったです。笑