「またまた東京テアトル」ちょっと思い出しただけ CBさんの映画レビュー(感想・評価)
またまた東京テアトル
公開するのを忘れていたので、変な時期のレビューになっちゃった。
お、配給はまた東京テアトルだ。「花束みたいな恋をした」「くれなずめ」「あのこは貴族」、なんか配給会社の路線って感じのものがあるんだね。
主人公の元カレの誕生日7/26を、東京オリンピックの2021年から7年間、主人公の記憶として遡りながら振り返っていく話。それぞれの年は、目覚まし時計の日付曜日表示から始まり、フェードアウトで終わる。そして次々と提示されるエピソードは、21年月曜日、20年日曜日、19年金曜日、18年木曜日、17年水曜日、16年火曜日と年を遡っていき、最後は一転して主人公と元カレの現在の姿で終わる。なかなかいかした作り。
ちょっと思い出しただけの過去の恋を、見ず知らずの人に映画として見せる。そこにはどんなテクニックが必要なのだろうか。観る前の時間にちょっと考えてみた。
① 多くの人の心に「あるある」「そうだったよなあ」といった共感を生み出す内容
② 次のシーンもしくは結末を観たくなる仕掛け
-1 謎を提示して謎解きを観たいと思わせる
-2 よしあし両方の結末が予想される分岐点を見せて、結末を観たいと思わせる
-3 淡々とした空気の中にハッとさせたりほっとさせたりドキッとさせたりと、小さな起伏をちょこちょこ埋め込んで結末まで引っ張り続ける
観終わって、①なのかなあ(俺には該当する部分なかったけど)、それとも②-3 だったのかなあ、という感じ。飽きずに観ていられる、素敵な映画でした。
エンドロールでスペシャルサンクスにジムジャームッシュ監督の名前があるけど、クリープハイプの尾崎世界観が好きな作品「ナイトオンザプラネット」に着想を得て作った曲「Night on the Planet」に松井監督が触発されて作った映画が本作だったのね。たしかに全編通じて、映画好きたちが作った映画って感じが充満してた。俺もそういうの、嫌いじゃない。
主人公と尾崎さんの最初と最後の会話。「どこかで会いましたよね」もいかしている。
「ナイトオンザプラネット」は未見だけれど、今度観てみよう。観ていたらこの映画、2倍楽しめそうだったから。ただ、同監督作品の「パターソン」リスペクトなのはわかるなあ。毎年、出かける際に講演で座っているジュンさんにあいさつし、地蔵を拝む。その繰り返しだが、そのシーンの中にちゃんと揺れがある。同じことが繰り返されるだけにみえる毎日に、詩があることを映像で見事に紡ぎ出したジャームッシュ監督へのリスペクトだね。
映画好きとして、かなり楽しかったです。
今晩は
コメント、ありがとうございます。
今作は松居大悟監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」ヘの愛溢れた映画で、大変面白く鑑賞しましたね。
フライヤーは、最初”間違え??印刷ミス?”と思った程でしたね。
今作の様なフライヤーの作り方は記憶にありません。(支持)では。