劇場公開日 2021年11月12日

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「エンジンかかるのがちと遅いアクション」アイス・ロード alalaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5エンジンかかるのがちと遅いアクション

2023年1月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

単純

敵がターミネーター2の敵並にしぶとい。多分人間じゃない。

リーアム・ニーソンは『サード・パーソン』を見てから注目してる俳優なんですが(遅すぎか)、本作はリーアム・ニーソンの演技力で保ってるように感じました。
流石の演技力で、というか流石すぎてちょっと、何か、アレー…?浮いてる…?ってくらい1人だけ演技力高すぎる。他のメイン俳優がパッとしないと言ったら失礼かもしれないけど…唯一、老舗っぽい見たことある俳優がいたけど序盤で退場だったし。
もちろん「うまい奴しか出すな!」とか言ってたら俳優が育たないし、むしろどんどん出してもらって構わないんだけど、やっぱり差が際立ってしまうほどだと見てて気になってしまう…ただ、この映画はそこまで大作のつもりで作ったわけでもないのかなと。
先住民や退役軍人の扱いの悪さを前面に押し出した作品があまりないので、そこは評価できます。というか、そこを言いたいがために主人公に有名俳優を起用して、そこそこの知名度にして皆に見てもらいたかったんじゃないかな。
アメリカの退役軍人の扱いの酷さ…戦争の間利用するだけ利用して、その後深刻なPTSDやパニック障害等を患っているために、戦争から帰っても普通の仕事に就くこともできずホームレスになっている人が多いのだとか。それを知っておきながら国は何の援助もしないとのこと。
いや、どの国もとにかく立場の弱い奴、少数派は叩き潰して黙らせて、何もしなくて済むならそうしよう!無かったことにしよう!と思ってるだろうけど、ここまで知れ渡ってるのに無視し続けるのもなかなかの根性。
先住民に至っては、数が少なくなる一方だからか寿命待ちですか?とちょっと捻くれた見方をしてしまうくらい話題にならない(政治の場にはもちろんいますが)。ましてやドキュメンタリーや捏造歴史もの以外の映画で取り上げられることなんてあったか?
ということで、「オイオイ見えないフリしてんじゃねーぞ!」と社会にぶち込んでくる作品として一定の価値はあるかなと。

ストーリーはツッコミどころ満載で、崖から落ちてもかすり傷だったり、死にかけてた人が助かった途端ピンピンしてたり、オイオーイ!な点は多々ありますが、つまんなくはないです。迫力もあるし。
ある程度、ストーリーが面白ければご都合主義に目をつむれる人向け。

先住民役の俳優は、最初見た時はパッとしないな、何でこの人選んだんだろうと思ったけど、見ているうちに何となく良いなーと思うようになり(笑)、起用されたのもわかる気はした。
ただ、やっぱり(脚本のせいだけど)主人公ばかりが活躍して、先住民の活躍は何かショボかったな…という感じ。まあ主人公が一番活躍するのは仕方ないんだけど、それにしても何かなあ??
一昔前の「とりあえず足を引っ張るのは女か子供」という感じは流石にもうないんですが、どうにも先住民とか何とか設定を入れてみたものの、それを活かす場面が思いつかなかったのかなと感じる部分がチラホラ。
とりあえずキャラ設定とストーリーの大枠だけ決めて、何かエエ感じのできたらそれでヨシ!みたいな雑さを感じるというか。
一応「設定を使って」はいるのですが、活かしたとは言えないかなと。

主人公はすぐキレるし、すぐ騙されるし、現実にいたら間違いなく付き合いたくないタイプなんだけど、リーアム・ニーソンだからか?そんなに嫌なヤツ!こんなヤツ応援したくねえ!となるほどでもなく、安直なアメリカンヒーローでもなく、人間らしくてちょうど良い塩梅だったのかな。

ハラハラシーンは割とすぐ始まるんですが、如何せんほとんどがトラックで荷物運ぶシーンなんで、絵的にもあんまりパッとしません。し、アクション始まるのもだいぶ後の方。
突然うすーいミステリーが途中に入り、その後サスペンス・スリラーのようになり、最後にアクションという感じなので、リーアム・ニーソンの格好良いアクション見てスカッとしたい人には不向きです。アクションというアクションはほとんどないですし、何ならそのアクションシーンも、おっさん2人が氷の上でツルンツルンしながらモダモダグネグネしてるだけです。最初はハラハラしながら見てたけど、段々笑えてきます。
でも、面白かったからヨシ!

やや暇な人がビールでも飲みつつ、オッサンの成長を優しい目で見守りながらアメリカの社会問題にちょっと関心持つための映画。

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alala