土を喰らう十二ヵ月のレビュー・感想・評価
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ただ生きているだけ
2022年劇場鑑賞263本目。
自然に囲まれている人の一年を通しての生活を追うといえば、橋本愛主演のリトル・フォレスト二部作を思い出します。あの映画の料理はおいしそうでした。ただ、その生活に憧れたかといえばそうでもなかったですが・・・。
この映画は老人が女編集者に見出されて自給自足の生活の様子を本に書く、というところから始まります。事前に恋人というふうに何かのあらすじで聞いていたので、ただの仕事仲間ではないという先入観を持って観ることができたから所々で恋愛感情を持っていると気付けるのですが、知らなかったら「あれ?」と思うくらいだったかもしれません。直接的なラブシーンはないので。
何人か他にも出てはきますが基本的に沢田研二が畑仕事や山菜採り、料理をするシーンばかりです。テレビもねえ、車もねえ、さすがに電気はあるけれど、ガスもねえ、バーもねえ、たまに来るのは松たか子みたいな世界なので、本当に生きているだけという感じがして、心の底からこんな生活絶対嫌だと思いました。ただ食べて寝るだけならもう寝たきりと変わらなくないかな?まぁ体を動かせるというのはアドバンテージかもしれませんが。
料理も副菜としてはおいしそうだけど、これがメインのおかずと言われると無理だなと思いました。刑務所のほうがいいご飯食べてそう。
いい男ね~
「いい男ね~」
「せやろ」
ほんま思った。
沢田研二。
いい男やな~。
世代じゃないので、懐かしの映像で見るくらいだったが、
それでもあの色っぽいホクロをつけた沢田研二は知っている。
それから何年経ったんだろ。
沢田研二は太っていた。
小鼻のイボもでっかくなっていた。
それでも。
いい男やった。
ほんまにかっこエエヒトってのは
年とっても太ってもハゲても(ハゲてないけど)メディアに露出しなくなっても
ずっっっっとかっこ良いもんなんやなあと感心した。
んでもって、
歌声がまたいい!
めちゃくちゃ艶っぽい!!!
なんでー!あんな見た目なのに!!
もっと見たいぞ、沢田研二。
本作で沢田研二が料理したり、食べたりするのだが、
「あ、このヒト、やってるな」って感じがした。
やることの一つ一つが自然。
普通。
家事や雑事って、やりなれてなかったら「これでおかしくない?」という一瞬の躊躇、間が生まれるもの。
それが全くなかった。
お姑役のヒトはそれが垣間見えた。
沢田研二の手がまた良い。使ってんな~って手だった。
ただし、あんな食生活してるのになんでこんなに太ってんの?という疑問はご愛敬。
お葬式に来た町の女性たち、
児童劇団芝居、なんとかならんもんだったのかね・・・・・・・。
あれだけは残念だった・・・。
さて。
同日公開の「あちらにいる鬼」瀬戸内寂聴VS「土を喰らう十二ヵ月」沢田研二。
どちらに勝敗があがるのだろう。
公開初日に観た「あちらに」はがらがら。70代前半男性が5,6人。
公開から5日目の今日「土を喰らう」は70代後半女性でかなり賑わっていた。
意外。
沢田研二に軍配か。いや、水上勉か。
はたまた土井善晴か?
いい映画でした。
自然の恵みのおすそ分けを頂く
作家の水上勉さんの料理エッセイを原案とした映画ですが、回想の勉少年以外、若い人が出て来ないです。それでも、ちょっと退屈な映画かもと思ったら、意外と興味深く観られました。
出てくる料理は素朴で飾らないものですが、松たか子さんが実に美味しそうに食べてました。
自然がとにかく美しく、大きな窓から見える景色を独り占めです。
田舎の一人暮らしにも些細だけど色々あります。偏屈なお婆さんが孤独死して、お葬式には来ないと思った近所の人たちが大勢、香典代わりに味噌や野菜をもって駆け付けたのも、食べ物の話題で盛り上がったのも面白かったです。
極めて個人的な感想。
私は若い頃根菜が嫌いだったし、シソやミョウガは全く食べられませんでした。
本作にはリンゴやトマトや枝豆が出てきても良さそうなのに、出て来ないんです。きゅうりと胡麻となめこを除くと見事に私の苦手な食材ばかりでした。克服できたものも有りますが。
それでも、本作を観たら、筍と里芋を食べてみようかなと思いました。私にとっては好き嫌い克服映画でありました。
沢田研二と松たか子はいらないかな…⭐︎
冒頭、松たか子が沢田研二(恋人という設定⁈)のもたに編集者として通うところから物語が始まる。
まず、この時にながれるジャズっぽいBGMが個人的には何なん???というくらいに場違いな感じ。
他の方がコメントされているように沢田研二は老いたるとはいえ健康的で、体力もありそう。
まぁ、セリフが朗読風の部分が多くて、「キネマの神様」のほど演技とセリフ回しの下手さが
目立たなく良かった。
それよりも、土井善晴監修の料理と古民家の台所の佇まい。
それに伴う普段使いされている器の数々か素晴らしい。
二十四節気を絡めて見られる、ロケ地白馬村の自然の美しさ…
映像も良く、本当にみとれてしまう。
それだけで、後はジャズ以外のBGMで充分映画として楽しめるものだった。
特筆すべきは、義母役の奈良岡朋子。
心も体も強く真っ直ぐな女性を体現していて、感動してしまった。
自然・台所そして料理。
これがこの映画の全てに思える。
まさに諸行無常の世界
命を感じる365日
スペンサーは大きな展開がなく、こういう映画は苦手と書いた私ですが、...
変な映画だった。不幸な水上さんの原作なので。危機一髪を助けてもら...
変な映画だった。不幸な水上さんの原作なので。危機一髪を助けてもらった恋人が一緒に住むと決心したのに、死を考えるために一人で生きるとは、本当に作家は自分勝手で、その勝手な感じ、思い込みの強さについて、ジュリーは適役だった。あとはラストの歌。全然うまくてびっくりする。間奏の鼻歌もうますぎるし。
死について考えるといったあとも変てこ。
田舎の暮らしは忙しいということを感じた。
葬式の日の村人たちの感じはよかった。未だにああということはないようにも思うけど。カリカチュア?
やがて土に還る
ボリボリと 沢庵だけで 飯食らう
まさに現代版徒然草
土の匂いがする映画
丁寧に生きよう
仕事に追われ、日々の暮らしがなんと疎かになっていることか!
便利な食べ物は世の中に溢れているけれど、味気ない。
本来、自分がどのように生きたいのか考えさせられました。
生きていくことの基本となる食べ物についてもっと丁寧に、あたり前のものをあたり前に作って口にして大切な自分の身体を作っていきたいと感じさせてくれる作品でした。
梅干しの紫蘇を揉んでいるシーンでは祖母に梅干しの作り方を教わった時のことを思い出して涙が溢れてきました。
こういうことが出来なくなっている今の自分の暮らしへの自戒もあり、12ヶ月の丁寧な暮らしを淡々と見つめて得られたものは大きかったと思います。
沢田研二は葬儀の振る舞いの胡麻豆腐やミョウガのおにぎり、故人のおばあちゃんの味噌を使った茄子料理、手際が良いだけではなく、お経を読むまでフルで大活躍!
松たか子がまた何もかも美味しそうに食べること!
奈良岡朋子のぶっきらぼうなおばあちゃんも良かった。
エンドロールの沢田研二の歌が、1度は一緒に暮らす覚悟をしたのに受け入れなかったために離れていった恋人へのメッセージのようで後味も良かったです。
真の豊かさを享受させてくれる作品
観賞後、野菜が食べたくなる邦画。 本年度ベスト。
食べ物をテーマにした作品と思いきや、結構奧が深いテーマだった感じ。
12歳でお寺を逃げ出し、信州の山奥で暮らす沢田研二さん演じるツトム。
ほぼ自給自足の生活をする中、作家業もして、松たか子さん演じる編集者の真知子が時々、都会からツトムに会いに行く展開。
ツトムが作る精進料理を美味しそうに食べる真知子。
真知子がかなり図々しい感じ(笑)
設定では恋人と言う事らしいけど、そんな雰囲気は一切無し。
山菜や根菜等を収穫して料理して食べるの繰り返し。
ツトムの野菜の収穫から下準備や調理の手際が良い。
全ての器が美しい。
器はツトムが自分で作っている事を臭わすシーンがあって陶芸家でも行けそう(笑)
ツトムは料理店でもやった方が良いのにと突っ込みたくなる(笑)
そんな中、義母の突然のある事件やツトム自身にもある事が襲い掛かって来る展開。
そこからツトムがある事に対する考えが変わって来た感じに考えさせられる。
先立たれた妻の遺骨を納骨出来ない場面等がツトムのある事に対する思いが伝わって来る感じ。
寝る前に「さようなら」と言いながら寝るシーンが意味深い。
観賞後、野菜が食べたくなり街を物色したけど、結局「野菜たっぷりチャンポン」を食す。
ちょっと映画と違う感じでした( ´∀`)
生きて、死ぬ、基本。良い映画だなあ。
スロームービーの秀作
小説家の水上勉が書いたエッセー「土を喰う日々ーわが精進十二カ月ー」を題材に、監督の中江裕司が物語化した映画でした。沢田研二演ずる主人公のツトムは、13年前に妻を亡くし、以降北アルプスを臨む長野県白馬村の山奥の一軒家で一人で作家生活を続けており、松たか子演ずる真知子は、ツトムの担当編集者兼恋人という役回りでした。
ツトムは子供時代に寺に預けられ、僧侶になるための修行をしていた経験を活かし、食べるものは精進料理や山菜料理を自作し、その食材も自分で栽培した野菜や野山で採集する山菜やタケノコが基本。電気や電話は一応通っているものの、月明かりで原稿を書き、ご飯もかまどで炊くなど、生活様式としては明治後半から昭和初期頃と思えるスタイルでした。最近のんびりと田舎暮らしする「スローライフ」という言葉を耳にするようになりましたが、ツトムの生活は文明の利器を極力使わないため、一般の「スローライフ」のイメージとは全くかけ離れた生活でした。しかも恋人の真知子はたまに訪ねて来るものの、基本は飼い犬の「もも」と暮らす一人と一匹の生活。映画の中では、畑に蒔いた種が鳩に食べられてしまうという程度の話しか出て来ませんでしたが、実際こうした自給自足生活をしたら、水害、雪害、風害、虫害などなど、途轍もない艱難辛苦が襲い掛かってくることが容易に想像され、とても真似出来るライフスタイルと思えるようなものではありませんでした。
ただ、物語全編を通して出て来る北アルプスの絶景や、野山の美しさ、そして何よりもツトムが作る精進料理、山菜料理を見るにつけ、強烈な郷愁をそそられることだけは間違いないところ。自分では出来ないけれども、間違いなく憧れる対象ではあるように思えました。
また、こうした外面的な部分もさることながら、結論を出さない物語展開も良かったように思います。映画全編を通して、ツトムの語りにより物語が進んでいくのに、真知子がツトムに投げかけた「奥さんのお骨はどうするの?」という質問に答えないツトム。観客は、既にツトムが奥さんとお義母さんのお骨を近くの池(湖?)に散骨したことを知っている訳ですが、何故かこの事実を伝えない。この時のツトムの心境はどうだったんだろうと考えさせてくれる創りは非常に印象的。
また、ツトムが自分から真知子に結婚を申し込んでおきながら、真知子がその気になると断るツトム。この心境は、何となく理解できるようにも思えるのですが、それに対して「私結婚することにした」と言ってツトムに別れを告げる真知子。実際に結婚するのかどうかは映画の中では語られていませんが、その後の2人の成り行きも気になるところ。
微に入り細を穿った説明を求められる時代だけに、こうした結論を出さない展開、逆に言えば余韻を楽しめる映画が減っている中、本作を観ることが出来たのは幸せだったかなと思えました。そういう意味では、結論を急がない、言わば「スロームービー」の秀作だったと言えるかと思います。
俳優陣は、沢田研二が何よりもいい味を出してました。TOKIOを歌ってた頃のジュリーからは想像も出来ない老成ぶりには、敬服するしかありません。エンディングテーマの「いつか君は」も沢田研二でしたが、透き通った歌声が染みわたりました。これを聴くとやっぱりジュリーはジュリーだなとつくづく感じたところです。
また、面倒なことをツトムに押し付けて来る義妹役の西田尚美と、その夫であり常に尻に敷かれる尾美としのりの夫婦役も、本作で唯一出て来る敵役を上手に引き受けていました。特に西田尚美は、ドラマ「相棒」でもサイコパスの犯罪者役をやっていましたが、こういう嫌われ役をすると本当に光りますね。
ただちょっと残念だったのは、映像がそれほどクリアではなかったこと。最近観た映画だと、話の内容は全く異なりますが「秘密の森の、その向こう」が、フランスの田舎の季節の移り変わりを高精細の映像で描いていて、非常に印象的でした。日本が誇る大自然や色合い豊かな食材を題材にしているのですから、本作も高精細カメラを使っていれば、より素材の良さを活かせたのではないかなと、素人ながらに感じたところでした。
特有
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