劇場公開日 2022年11月11日

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「必見!仙人ジュリーの自給自足お料理教室!!  人はやがて対人関係を卒業し、自然と一つに...シニア版"リトル・フォレスト"映画」土を喰らう十二ヵ月 O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0必見!仙人ジュリーの自給自足お料理教室!!  人はやがて対人関係を卒業し、自然と一つに...シニア版"リトル・フォレスト"映画

2022年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 少年時代に京都の禅寺で精進料理の作り方を教わった著者が、記憶をもとに1年間に渡って身近な食材で作り続けた料理について綴ったクッキングブック兼味覚エッセイを原作とした自給自足の食生活映画。
 雪深い山荘で気ままに暮らす初老の男の一年の食事、それに連なる他者と自然との交流を通して研ぎ澄まされていく彼の死生観。
 自分の身の周りの自然と向き合い、土と格闘しながら何か月も前に仕込んだその実りを喜びとともに口にする…そこにある些細な現実に一つ一つ感謝しながら生きる生活は素敵ですが、それと同時にほぼ自己完結して人と人との友愛・軋轢と対立する生き方でもあり、ただそこに在ろうとするのかそれとも我を撒き散らし合いながら爪痕を残すのか、その相克とバランスを問うた作品でもあると感じました。
 何はともあれやぱりジュリーファンがその客層の大半ではあるかとは思いますし、その向きに決して不興を買うような内容でもないと思いますが、そうではない層にもそうではない層それぞれにそれぞれの形で刺さる作品ではないかと思います。

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)