「門前の小僧習わぬ経を読む」土を喰らう十二ヵ月 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
門前の小僧習わぬ経を読む
この作品が水上勉のエッセイが原作という理由だけで観に行きましたが、中々興味深い作品でした。
私の中での水上勉という存在は、高校時代(半世紀前)に日本映画の名作を見漁っていた頃の名作映画の原作家という印象が強く、それで原作も釣られて読み好きになった作家さんでした。
その水上さんが一時期でもこういう生活をしていた事に驚きましたが、大正・昭和前期生まれの人ってこういう根本的強さをまだ持った人が多くいたような気がします。
更に、少年時代の禅寺での修行によって“三つ子の魂百まで”ではないが、そこで習った“生きる”ことの原点を身に付けていた人だからこその達観なのでしょう。
私らの様な昭和中期以降生まれの人間には環境が揃わないと中々出来ない様な自給自足生活で、個人的には非常に羨ましかったです。
ただ、同じエッセイが原作の作品だと『日々是好日』の方が映画自体の面白さは感じたな。
人は達観した人生より、自分に近い未熟(不完全)からの成長の方が見たいですからね。
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