「【11/16追加:参考情報にネタバレあり】日本で過ごしている外国人の方もぜひぜひ、くらい。」土を喰らう十二ヵ月 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
【11/16追加:参考情報にネタバレあり】日本で過ごしている外国人の方もぜひぜひ、くらい。
今年327本目(合計602本目/今月(2022年11月度)14本目)。
映画のジャンルとしては…何になるのかな?
二十四節季(すべては出ません)ごとに、その季節にとれるもので料理を作り、その中でいろいろな事件が起き…と進んでいくタイプです。
主人公は設定にあるように山奥で質素な生活をしています。そのため、この前提で食べられる料理はたけのこ等、いわゆる「野菜料理」というのでしょうか、そのようなものが多いというのはありますが、こうした料理は日本料理ではどうしても今では「どこでも」食べられるものではなくなったのが今の状況といえますから(逆に言えばどうしても食べたいなら、山奥などのホテルや民宿などにとまって注文するくらいしかない?)、「日本の文化の一つなんだよ」ということで外国の方で日本語もある程度わかる方がいかれる類型もありうるのかな…という感じです。
ストーリーというストーリーが存在しない(あることはありますが、書くとネタバレになってしまう)こと、さらに食に関するいろいろな古典漢文の引用なども紹介されていて、知らなかった、なるほど…というところも多いです。ある意味「知的な枠」というのがこの映画ということになりそうです。
積極的なストーリーを見出しにくいというタイプはあるにせよ、この映画の視聴者の層として、「高年齢層」が想定されていることは明らかで、あまりあれもこれもと詰め込まず、そうだよね、(戦後の混乱期などで食物が満足でなかったころは)こうだったんだよね、という感じで見る、そういう類型が主に想定されているのではないか…と思います。
この映画を通じて、日本の料理の中でも、特にこの映画が参照しているタイプの料理が見直されれば、と思っています。
特に採点要素として引くようなところは見当たらなかったので、満点にしています。
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▼ (11/16追加/参考/葬式費用は誰が負担するのか)
・ 見られた方はご存じの通り、この映画内では「お葬式」がひとつテーマに入ります。
そうすると、「葬式費用は誰が負担するのか」という論点が気になります(映画内では適当にごまかされている)。
しかし映画内は明らかにリアル日本ですので、日本の民法その他を見ると…。実はややこしい事案です。
日本の民法その他を見ても、「葬式費用を誰が負担するか」については何ら規定がありません。それどころか「葬式」という語すら表立って出てきません。これは、お葬式それ自体がどうしても宗教性を帯びるもので、日本は戦後の日本国憲法で政教分離をうたっているため、その下位法(実質、憲法以外のすべての法)でそれを個々具体的に「何とか式にしなさい」とか「何とか式はいけません」ということを法律で定めることができないからです。
一般的な考え方は、「相続財産からの控除説」「相続人均等負担説」、「喪主全額負担説」がありますが、裁判例(名古屋高裁、平成24年3月29日。日本の司法の頂点にたつ最高裁判所の「判例」に対して、高裁以下の判例を「裁判例」として分ける考え方が普通です)では「喪主全額負担説」を取ります。「喪主が葬式の様式、規模などを決める以上、その負担も喪主に帰するのが妥当」という考え方です(したがって、喪主が全額負担せよという以上、他の相続人に対して立替分の均等額負担額を(当然のようには)個々に請求することはできない)。
※ この論点のややこしいところは、この論点のみならず、「お葬式費用の税金関係(相続税からの控除)」という「税金の論点」が絡む、というところに大半つきます(正しく申告しないと税務署がうるさいのは、ご存じの通り)。
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