劇場公開日 2021年10月8日

「国岡は「伝説」となったのか?!」最強殺し屋伝説国岡 完全版 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 国岡は「伝説」となったのか?!

2025年10月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

■ 作品情報
監督・脚本: 阪元裕吾。主要キャスト: 伊能昌幸(国岡昌幸役)

■ ストーリー
阪元監督が自身の新作映画脚本の参考とするため、フリーの殺し屋・国岡昌幸に密着取材する様子を追うフェイクドキュメンタリー。京都最強と謳われる23歳の国岡は、友人との交流や恋愛など、ごく普通の日常を送る一方で、依頼された殺しを淡々と遂行する。しかし、ある時、依頼元との連絡ミスにより、国岡は誤ってターゲットとは異なる人間を殺してしまう。この一件をきっかけに、事態は急変。激怒した依頼主から送り込まれるヒットマンたちと、殺された人物の復讐を誓う者たち、国岡は双方から命を狙われることになる。

■ 感想
馴染みの映画館で上映予定のシリーズ第3弾『フレイムユニオン』を鑑賞する前の予習として、慌てて本作を観てみました。正直なところ、おもしろいかと問われれば「それなりに」としか言えず、今となってはシリーズ第3弾の鑑賞もちょっと迷い始めています。

作品全体を通しては、殺し屋の日常を描くモキュメンタリーという構図がとても興味深かったです。特に冒頭、ドキュメンタリー風の映像で殺し屋協会や殺しの分業制、仕事の流れなどがスムーズに描かれ、作品の世界観にすんなり入り込める好印象です。

その一方で、腰の銃を隠そうとしない、すぐ近くに人がいる場所で狙撃する、依頼人とのいざこざを裁判で解決しようとする等、およそ裏稼業とは思えない国岡の態度に困惑します。しかし、きっとこの世界は、殺し屋が一般の職業として認知されている世界線で描かれているのだと解釈し、それならそれでと以降の展開に期待して鑑賞続行。

それなのに、ホワイトベアーなる殺し屋集団が登場したあたりから、物語の雲行きが怪しくなり、最終的には「ぐだぐだレベルMAX」に。まるで学生の自主制作映画を見ているかのような様相に、正直がっかりです。「最強殺し屋伝説」と銘打っているにもかかわらず、肝心の殺しがあまりに雑なのは興ざめです。

それでも、国岡の自然体な演技だけが、本作を辛うじて支えていたと言っても過言ではありません。そして、序盤でさりげなく描かれていた、電話による仕事依頼への不満、依頼人親子とのトラブル、友人の紹介でのデート、ブラック企業の社長殺しなど、全てが後半の伏線となっている脚本の構成力には驚かされます。もし『ベイビーわるきゅーれ』と同じくらいアクションに力が入っていたら、もっとすばらしい作品に化けていたであろうポテンシャルを感じるだけに、本当に惜しい作品だと感じます。

おじゃる
PR U-NEXTで本編を観る