「少女マンガの世界が味わえます」君が落とした青空 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
少女マンガの世界が味わえます
鑑賞予定には入れてなかったのですが、たまたま舞台挨拶ライブビューイング上映回があり、時間の都合がよかったので鑑賞してきました。率直な感想としては、高校生のラブストーリーなので同世代の若者なら楽しめるのではないかと思いますが、大人にはちょっと物足りない印象でした。
ストーリーは、彼氏の修弥と毎月1日の映画デートを重ねていた実結が、ある日のデートでドタキャンした修弥から呼び出され、待ち合わせ場所で修弥が交通事故に遭うのを目撃したのも束の間、気づけばその日の朝に時間が戻っており、それを何度も繰り返しながらなんとか修弥を助けようと奮闘するというもの。
タイムリープを扱ったSFテイストで展開するラブストーリーで、なかなか興味深い展開でした。高校生の恋愛らしい初々しさも感じられましたが、こんな胸キュン経験のない自分には共感しにくかったです。特に、理科室での告白シーンは「今どきはこんな感じなの?」と観ているこちらが恥ずかしくなるようなシーンでした。でも、これはあとで回収されたので納得です。
他にも、事故現場も時刻も明確なのになぜ先回りして止めないのか、なぜ修弥に事情をきちんと説明しないのかと、いろいろ突っ込みたくなりましたが、キュンキュンする展開にもっていくためにはタブーなんでしょうね。それに、終盤でのオチで、そんなこともどうでもよくなりました。
全体的に甘酸っぱさ全開の少女マンガ展開で、少々退屈にも感じましたが、終盤で1日の大切さを訴え始めたのはよかったです。むしろ、このテーマをもっと前面に押し出して描いたほうが、作品にもっと深みが出たと思うのですが、それだと若者受けしないのかもしれません。
ラストは、まあそうなるよねという展開で、ダメじゃないけどおもしろくもないといった感じです。もう一捻りほしかったというか、むしろ修弥は…ゴニョゴニョ…で実結が一人で…ゴニョゴニョ…でよかったのになぁなんて思ってしまいました。
上映後の舞台挨拶ライブビューイングでは、主演の福本莉子さん始め、松田元太くん、板垣瑞生くん、横田真悠さん、莉子さん、Yuki Saito監督が登壇されていました。みなさん青基調の衣装に身を包む中、福本莉子さんだけは白い衣装で、全員でタイトルにちなんで青空を表現しているようでした。トークでは撮影裏話として、雨の中で倒れ続ける交通事故のシーンが大変だったと話されていました。震えが止まらず撮り直しを行ったそうですが、当時を振り返って福本さんが「生きることを諦めた」と笑いを誘っていたのが印象的でした。そんな若手俳優陣の熱意はスクリーンから十分に伝わってきました。