「島の女」劇場版 からかい上手の高木さん 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
島の女
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近年こんなにほっこりするマンガに出会ったのは久々な気がする。以前の日本人なら「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」でほっこりしていたのかもしれないが、私にはもうちょっと無理。
マンガからTVアニメになってあれっと思ったのは、舞台が作者の出身地である小豆島の土庄町になっていたこと。こういう日常がテーマの作品はどこと特定できない場合がほとんどだが、瀬戸内の風景はかなり特徴的だ。背景に海やフェリーが映り込んでくるのが何ともいい。映画版でも“虫送り”という行事が魅力的に描かれていて、おそらく聖地巡礼とかでアニメファンがどっと押し寄せるのだろうな。
基本的にあらかじめ将来像が設定されているので、予定調和と言えばこれほど予定調和の世界もないが、それもまた良し。もうわかりきった二人の関係性の中で、いつまでやってんだよとニヤニヤしてしまう。
そこへ行くと、この映画版では後半いきなり核心を突くようなやりとりが出現して、面食らった。ミステリーの途中で唐突に真犯人の独白があったような脱力感(?)。劇場版というのはなかなか難しいもので、「ドラえもん」でも「クレヨンしんちゃん」でも映画だとなぜだか大冒険したり陰謀に巻き込まれたりする。「高木さん」ではさすがにそれは難しいので、微温的日常にケリをつけるクライマックスを用意したのだろうが、それはそれで無理があるような…。
捨て猫に関するエピソードはいかにも狙った感じがして、乗れなかった。ペットショップのオウム返しならぬ人語を解するオウムは、違和感あり。
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