「安定した作画と内容で、1日1日の大切さをどの世代にも訴え掛けるような、微笑ましくて楽しく貴重なアニメーション映画。」劇場版 からかい上手の高木さん 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
安定した作画と内容で、1日1日の大切さをどの世代にも訴え掛けるような、微笑ましくて楽しく貴重なアニメーション映画。
本作は小学館「ゲッサン」連載の人気コミック「からかい上手の高木さん」の映画化です。
と言っても「ゲッサン」(月刊少年サンデー)の発行部数は1万5000部を切っているので雑誌は知らない人が多いのかもしれません。
ただ、「からかい上手の高木さん」は発行部数がシリーズ累計1100万部を突破しているので知名度が高いと思います。
実際に2018年、2019年、2022年と3期にわたりテレビアニメ化されているのです。
そして本作で満を持しての映画化となっています。
本作はタイトル通り、高木さんが❝からかい上手❞で、西片(にしかた)を相手に楽しんでいます。
そんな2人も中学3年生となり、中学校生活最後の夏休みを迎えることに。
アニメ版では小豆島が舞台になっていて、仲間と離れ離れになってしまうかもしれず、2人の周辺も二度と訪れない「今」を後悔しないようにソワソワし始めます。
本作のジャンルは「青春映画」と無難に言うこともできます。
ただ、私は、そんな範疇に収まる作品ではないと感じました。
そもそも、年代に関わらず「1年間」というのは共通な時間です。
ところが大人になると、学生時代と比べると「1年間の区切り」が弱くなる傾向にあるような気がしていて、「1年間」の重さを意識しました。
この映画での登場人物らが二度と訪れることのない「今」を生きようとしている姿は世代を問わず何か訴え掛けるものがあり、前向きな気持ちになれたりしました。
おそらく人によって感じることの変わる73分と思えない充実した内容になっていると思います。
なお、エンドロール後には意外な映像が続くので席は立たないようにしておきましょう!
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