劇場公開日 2021年12月24日

「本作は「小川淳也」という青臭い政治家のリベンジと、周りの人間たちの成長記録である。」香川1区 jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本作は「小川淳也」という青臭い政治家のリベンジと、周りの人間たちの成長記録である。

2021年12月31日
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鑑賞方法:映画館

小川が熱い男だということは一作目でも十分にわかった。今回は、正と悪という対比を際立たせることで、より政治に興味をもたせようという構図が成功している。

小川は迷い、怒り、笑い、泣き、自転車で走る。その姿はすがすがしくさえあり、応援したくなる。

大島監督が取材を始めた頃には母親にまとわりついて泣いていた娘たちが、父の一番の理解者になり家族の一員としてそれぞれを支えている姿は、まっとうな大人の背中を見せて育つとこうなるという好例だろう。「正直者がバカを見る」と思っていた娘は、「正直者はいつか報われる」と確信することになる。相手の話を聞き信念を貫くという姿勢に胸を打たれる。

作中、小川陣営の一人が「与党自民党に投票せざるを得ない現状は、国民がそれを許してしまっている」というような発言をするが、それを変えられるかもしれないという希望を、支持者たちがどんどん持ち始める進行がよい。政治の腐敗は国民のせいであるという監督のメッセージが、淡々と取材を進める大島の眼差しから伝わってくる。

小川のみならず、有権者たちにも変化があったことは明らかである。

jollyjoker