「【どす黒い底なし沼の様な作品。哀しみを抑制した佐藤二朗、狂気性が半端なき清水尋也の演技が圧巻。時間軸を行き来する脚本も見事な作品。ダークテイストな親子愛を描いた作品でもある。】」さがす NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【どす黒い底なし沼の様な作品。哀しみを抑制した佐藤二朗、狂気性が半端なき清水尋也の演技が圧巻。時間軸を行き来する脚本も見事な作品。ダークテイストな親子愛を描いた作品でもある。】
ー 冒頭の数シーンで、観客は監督が仕掛けた罠にマンマと嵌る。
それは、嘱託殺人を装ったサイコキラー山内に殺された、自殺願望のある人々の様に・・。
そして、生ける屍の様な、自堕落な父親、原田が抱えていた哀しさは、微塵も感じさせない佐藤二朗の演技。
生意気だが、父を想う、娘楓の視点で、序盤は物語を見ていく。
可なりの不快感を感じながら。-
◆感想
・レビュータイトルで記したように、哀しみを抑制した佐藤二朗、狂気性が半端なき清水尋也の演技が圧巻である。特に清水演じる山内の、自らの変態的な性的嗜好を満たすための恐ろしき行為の数々。
又、近年同様の事件があったばかりだが、自ら死にたがる人々のSNS上の言葉の数々に、暗澹たる気持ちになる。
・序盤は、失踪した父を懸命に探す楓の視点で、映画を観てしまう。そして、片山監督が仕掛けたトラップにマンマと引っかかるのである。
・時間軸を行き来しながら、徐々に露わになる、事件の本質。
脚本の巧さと、役者の演技が見事に合致している。
・そして、楓が見抜いた父の本当の姿。
- 解釈が分かれると思うが、私は原田は最初はALCに罹患し、死を望んだ妻を”楽にさせてくれた”山内に対する想いと、SNS上で死を求める名もなき人々の姿と、自らの借金精算の想いが綯交ぜになって行ったのだと思う。
そして、彼は、山内を利用することを決意したのだと思う。
だが、娘はそれに気づき・・。-
<ラスト、父と娘が卓球をするシーン。機械的に球を打ち返す親子の姿。そして、徐々に近づいてくるサイレン。
真実を知る娘は父を警察に通報し、父は最後になるであろう娘との交流を、涙を流しながら行う。
重い、重い、どす黒い底なし沼に引きずり込まれた感覚を抱かざるを得ない、見事なダークテイストな親子愛を描いた作品であると思う。>
今晩は!
私は予告くらいしか予備知識なしにふらっと観に行ったのですが、久々に熱にあてられた映画でした。
落ち着いた今思うのは、人は失くして大切さに気がつくんではなくて 失くした物に価値をつけたがるのかなということです。さがす行為は価値を確認することなのかもしれません。
コメントありがとうございました!