「凄くフラット、だからこそ感じる都合の良さ」フタリノセカイ たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
凄くフラット、だからこそ感じる都合の良さ
最近の話題の様に扱われることの多いLGBTQの話。自身もトランスジェンダーであるからこそフラットな描き方なのだが、そこが返って良さを無くしている気がした。
撮影されたのは2019年。少しばかりアンテナは鋭利だったと思うし、要素ではなく、正面から描く作品は今観ても珍しいと思う。何故なら分からない部分は想像するしかないとなると、その比率が大きすぎるからだ。その点を踏まえてみると凄く捉えているように思えるし、挑戦的だと思う。だが、個人的にはそれをフラットに取りすぎて、障壁というより都合の良さが勝る。そう考えると、プロットも引き立たなくなって、愛の勝手さが鼻につく。そこが惜しいところ。
主演の片山友希さんと坂東龍汰さんは今でこそ聞くが、まだフレッシュな感じ。上手いけど伸びしろがあるように思えて、それはそれで新鮮。手島実優もちょっと出てきたのが嬉しかった。そういう意味ではキャストはかなり良い所をついている。ただ、そのカラーが良くも悪くも出てないかなって感じ。坂東龍汰さんの胸はリアルで凄かったけども。
結果として諸々上手く事が運ばれすぎてしまっている気がする。だからこそ、LGBTとして扱う事の意義みたいなモノが見えてこなくなったのが残念。
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