「女性というものは全て母性を持っているものだと錯覚しがちな男の意識を揺さぶるようなドラマかな。マギー・ギレンホールが監督だと知って成る程と思った次第。」ロスト・ドーター もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
女性というものは全て母性を持っているものだと錯覚しがちな男の意識を揺さぶるようなドラマかな。マギー・ギレンホールが監督だと知って成る程と思った次第。
①『女王陛下のお気に入り』『ファーザー』とはまるで違う若やいだ雰囲気のオリヴィア・コールマン、これまた『ワイルド・ローズ』『ジュディ 虹の彼方へ』とは別人のようなジェシー・ベックリー、最初はダコタ・ジョンソン?と思ったけど観ているうちによく似た欧州出身の女優かな?と思っていたらやっぱり本人だったダコタ・ジョンソン。いつもとは違うキャラクターながらそれぞれしっかりと演技を魅せるところ、男の発想では描けないなと思ったところ等、面白い切り口の女性映画という感じ。②独り者の身としては、そんなにイヤなら産まなきゃ良いのに、と思いたいところだが、産んでみないとわからない、という事もあるんでしょうね。どうしても自分の子供を好きになれないという親はいる、というのは聞いたことがあるし。③母親であることを捨てて“女”として生きることを選んだ女性が登場する映画はそれこそ数え切れないほど有るけれども、母親と“女”とを同時平行して生きたり(普通はそうではないか、とは思うが)、行ったり来たりする時の女性心理を踏み込んで描く映画は少ないように思う。自分が親に向いていないと分かりつつ子供(娘たち)に対峙すつつ生きていかねばならない、というのはどんな気持ちなんだろう。④盗んだ人形を捨てたと思ったら拾ったりを繰り返したり(娘たちから離れたり娘たちの元へ戻ったりしたヒロインの過去の行動の暗喩だろう)、若い男「ウィル」や年寄り「ライル」に色目を使ったと思えば母親の顔に戻ったりと、オリヴィア・コールマンのリアルな演技は流石であるが、リアルで有るがゆえに時々イラッとさせられたのも事実。⑤娘の育児に神経衰弱ギリギリになっている若い母親ニーナに若い頃の自分を見てシンパシーを感じ、また何故か自分を慕ってくるニーナに心を許したのか(止めときゃいいのに)人形を盗んだことを告ってしまったレダ。その挙げ句キレられて髪留めで刺されちゃうわけですが、確かに人形を盗むという行為にドン引きするのは分かるが相手を刺しちゃうとは(浮気の場所として部屋を使わせてくれと平気で頼んで来たり)ニーナもやっぱり“悪い人”の一人だったのね。※ウィルも“悪い人”の女房に手を出すとは良い度胸をしているが。⑥ライル役の俳優、エド・ハリスに似ているけれどもエライおじいちゃんになって、と思っていたらやっぱりエド・ハリスでした。