幻滅のレビュー・感想・評価
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高貴な野心
1800年代初頭、フランスの田舎町アングレームに暮らすイケメンポエマーの成り上がりと堕落の話。
世話になっている地主の侯爵に夫人との関係をつめられて、夫人と駆け落ちしてパリへ行ったポエマーが夫人と共に社交界に顔を出すけれど…。
ちょっと浮いては沈んでを繰り返しつつもどんどん話しが大きくなっていき、という展開で、一応自身の著書の出版に対する意気込みの話しあるけれど、彼が1番欲しいのは地位とか名誉とかそういうものってことでしょうかね。まあ、コンプレックスの塊みたいな感じだったし。
踊り踊らされ操り操られのお話しでなかなか面白かったしテンポも悪くはなかったけれど、状況説明のナレーションのオンパレードだったり、内容の割にちょっと話しが長過ぎたりで最後は少々飽き気味になってしまった。
それにしても小新聞って所謂タブロイドですよね?それがそんなに力を持っていた社会って…。
情報を伝えるツール(SNSとかその使い方を含め)がいくら進歩しても人間の欲と悪意とは少しも変わっていないことを19世紀のパリの出版業界と上流社会を舞台に赤裸々に描く群像劇。
①やはりパルザックは偉大だ、ということが最初の感想。
②続いて、情報が真であっても偽であっても金になれば良いという拝金主義は現代のモラルの低い出版界そのまま。
メディアが金儲け第一主義になったりフェイクニュースを流したり世論操作をするのも形が変わっただけ(テレビ・SNS・YouTuberやインフルエンサー等に)。
③貴族になることに拘ったリュシュランも愚かだが、本当の貴族がエセ貴族を自分たちの仲間と認めるわけもなく、盛大に脚をすくうその悪意。
④バルザックの作品にある社会感と、その社会で翻弄される人間・賢くはないけれども心優しい人間・日和見な人間・上手く潮や風の流れを読んで振る舞う人間・自分の世界には相応しくない人間を排除する人間等々、様々な人間群像を忠実に且つ我々現代人にも共感できる映像作品に仕上げた演出・脚色・演技・美術は見事。
⑤ラスト、金色の光を浴びながらリシュランが湖に入っていくシーンは、一度幻滅を味わった人間が一旦裸になって再生する姿を表しているようで美しい。
この頃は、 こういうこと沢山あったんだろうな ルイーズの感情の変化...
この頃は、
こういうこと沢山あったんだろうな
ルイーズの感情の変化が素早すぎて驚いたけど、
あれは端折りすぎたのではなく、
ストーリー的な流れだったのか?
情報は正しくても間違っててもお金になる
うーん、やっぱりこの時代の衣装やら背景やらのセットがとてもとても好きだわ。どの角度からみても美しかった。眼福。
たとえ実力が足りなかったとしても、お金とコネ、権力があるものに取り入れば上位に行ける世界。
そしていつの世も情報は正しくても間違っててもお金になるのね。すごいわね。
情報は人の評価を決める。
評価のために人は情報を買う。
恐ろしいループ!
名誉はお金で買えるということを学んだわ。きっと今も昔もそこは変わってないはず。
主人公は確かに出世欲が強かったけど、根っこが繊細な芸術家だし、田舎育ちで純朴なので、美しいものでコーティングされてるドス黒い貴族のスノッブな価値観は本当は好きじゃなかったのだと思う。
純粋なまま田舎で詩を書いてたら、生きてた時はイマイチ評価が上がらなかったとしても、後世には何かを遺したのではと思ってしまう。残念。
始終目に映る絵が美しいのとは真逆に、人間たちがずっと腹に一物抱えた黒い奴らの頭脳戦なので飽きずに観られた。
原作は1800年代に書かれたらしいけど、人間の本質は変わらないんだなと思える作品。
バルザック
2023年3月15日
映画 #幻滅 (2022年)鑑賞
身分制が根強く残る19世紀のフランスを舞台に、田舎から夢を抱えて
パリに出てきた青年が、ゴシップにまみれた仕事に手を染めていきます
ゴシップ系YouTuberとかいる現在と基本的なことは変わらないな
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
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