「とても結核患者には見えん」幻滅 ひろちゃんのカレシさんの映画レビュー(感想・評価)
とても結核患者には見えん
ジャーナリズムの道徳的脆弱性について当初から警告を発していたバルザックは偉い。まさに慧眼というべき。
報道のあるべき姿は,事実を積み重ねて本質に迫る,という点で学術研究に似ているそうだから,そこに欲が入り込んではいかんのである。この作品の登場人物も欲に駆られて仲間割れした挙句,弾圧の口実を体制側に与えてしまう。この欲の対象はカネと名声だった訳だが,報道そっちのけで意見を押し付けるばかりの新聞、偏見むき出しルポを連載する週刊誌、記者会見場で自己主張にのみ熱心な記者など現代日本の困った報道者達を駆り立てるのは自己顕示欲か承認欲求か?…てなことを考えながら画面のシックさなどを楽しませて貰った。
主演のボワザンはなかなかの逸材とお見受けするし,ドパルデューは相変わらずいい味出してる。ルイーズ役の女優(初見です)も好演。
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