あのことのレビュー・感想・評価
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自分のことは自分で決める
フランス映画って何度観ても倫理観とかイマイチぴったり来なくて共感しづらい…と思ってたのだが、この映画観てよく分かった。我々日本人はフランスの60年代を生きてるんだ。我々にとって現代のフランス人は未来人なんだ。そりゃ分かりっこないよ…倫理観とかこの映画とそっくりじゃん。
さて、映画としては主人公の不安感とか、追い詰められてどんどん視野が狭くなり判断力もなくなっていく感じなど、映像からも表現されてて差し迫った感じが、そしてあの瞬間が!コワい…
まんま撮してるじゃん…
「流産で」って台詞があんなにホッとするなんて思わなかったよ…
あんな頭良い子があんなになるんだから、自分のことは自分で決める!って女性が言うのはよく分かるよ…
あのことが引き起こす顛末
原作者のさすがの作家性があふれた、若き日の痛みの描写。
著者の自伝に近い、望まぬ妊娠をした顛末が、スリリングに描き出されていて、スクリーンから目が離せない!
ここ最近ネットで、ああでもないこうでもない乱痴気さわぎみたいな若者を描いたドラマ・映画からは一線を画した映画ですね・・
人工妊娠中絶の顛末が微に入り細に入り描かれています。女性の方はもちろん、カップルで男の側にも見てもらいたいと思いますね。私のような性教育もろくに受けていない年代からすると、これだけの試練が一方の側だけに与えられるのは酷だという考えしか浮かびません。
中絶が是か非かは、一人ひとりが考えるべきでしょう
金獅子賞も納得の容赦のなさ。
望まれる妊娠、望まれない妊娠。同じ妊娠でも両者は両極端だ。例えば愛する人と結ばれて計画的にする妊娠は前者、レイプなど女性の思いもよらない妊娠は後者だろう。つまりはどっちに分類されるかは女性の心境によるということ。
妊娠した子供を産むか産まないか。一部の国を除けば、大抵の国では女性の意思が尊重される。
キリスト教圏ではない日本では1948年ごろから人工中絶が法的に認められていた。しかし、カトリックが多いフランスでは1975年まで合法化されていなかった。
1940年生まれの主人公アンヌの生きた時代はまさに堕胎は犯罪行為。子供を神からの授かりものととらえるキリスト教圏の国では女性の意思よりも、理由はどうあれ授かった命を尊重するというのもわからなくもない。現にバチカン市国などはレイプにより出来た子の堕胎でさえも禁じている。確かにレイプでできた子であってもその子には罪はない。
女性の意思を尊重するか、子供の命を尊重するか、考えれば考えるほどわからなくなる。ただ、キリスト教的思想のない自分としてはやはり子供を産むか産まないかは最終的には女性の意思にゆだねられるべきだと思う。かつて女性は子供を産む機械なんてとんでも発言があったけど、やはり今までの社会は女性の意思を蔑ろにしてきた経緯があるので尚更そう思う。
また、女性の意思よりも子供の命を尊ぶというのなら、たとえばアンヌのような女性だけでなく社会人として働く女性が結婚して出産しても学業や仕事に支障がないようにシステムを整えるとか、出産育児による女性のハンディを一切なくしてから初めて言えることではないだろうか。
折しもアメリカでは国内で少数派のキリスト教原理主義者が判事の過半数を占める最高裁で人工中絶を禁ずる判決が出て国家を二分するほどの騒ぎになっている。いままで認めてきた中絶を禁止するという時代に逆行したものとして批判が多い。
確かに過激な原理主義者が言う命の尊さとかは聞いていて胡散臭い。何故なら彼らの中には中絶をする病院を脅迫したり放火したりして、人命軽視も甚だしい本末転倒行為を繰り返しているからだ。そんなにいうなら女性の望まない子供を全て引き取って育ててみろと言いたくもなる。
思わぬ妊娠に戸惑う主人公のアンヌ。彼女は優等生で進級を目指しており、将来の展望もあった。
しかし、未婚で若くしての妊娠というだけでなく、堕胎が罪となるという、女性には全く選択の余地がない当時の時代背景が彼女を徐々に苦しめてゆく。
そして妊娠期間が経過してゆくごとに望まない妊娠をしたアンヌにとって体内に異物が育ってゆくことの不安が見ている方にもひしひしと感じられた。
正直、最初はアンヌ役の女優さんがとても可愛らしい方で見とれてみていたら、その後の展開にただただ啞然とさせられた。間違っても女性の妊娠の不安や苦しみに対して分かった風なことを言えないほど痛々しい姿を見せつけられる。
特に自分で針を刺して堕胎しようとするシーンや闇堕胎を受けるシーン。そして極めつけは終盤のトイレのシーン。
まさかここまで容赦がない映画とは思ってなかったので、思いきり頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
最近でも「朝が来る」や「十七歳の瞳に映る世界」など類似の作品はあったが、本作はまさに別格だった。
本作はR15だけど性教育の教材として中学生くらいから男子にも見せるべきではないだろうか。そうすれば軽はずみに女性としたいとは思えなくなると思う。でも衝撃的過ぎて女性に対して不能になるかも。
誰の中にもごく自然に存在する、欲望に忠実である事に対して、しばしば...
誰の中にもごく自然に存在する、欲望に忠実である事に対して、しばしば勇気のない人々に、別な理由を持ち出して激しく嫉妬される事がある。
そんな時の孤独を思い出させるこの作品。
全編通しての緊張感と痛々しさで目を覆いたくなる程だった。
60年代の実話である事を感じさせないのは、男性の態度は今でも対して変わらないだろうと思うからだ。
そう思うと、いろいろと日常的に引っかかっている事が思い出されてゾッとする。
電車の座席の座り方一つだって、日々抑圧されてるんだから。
全編ほぼクローズアップショット
彼女を体験した!
映画ってその人の人生になれるんだ
私はあの時間、確かに「彼女」だった!
希望を望みながら見るけど勿論痛くて辛い
だのにカタルシスを感じてるのは何故なんだー!
ショットにも脚本にも音楽にも展開にも
統一感があったから?
この映画の波に乗った感が強いのは統一感の仕業なのか?
面白かったです
【主人公の女子大学生の視点で描いた圧倒的臨場感、妊娠が進むに連れて作品への半端ない没入感を味わった作品。”痛かった、不安だった。それでも私は未来が欲しかった・・。”手に汗を握りながら観た作品である。】
ー 冒頭は、”避妊しないから妊娠したんだろう!”と思いながら観ていたが、女性にも当たり前だが性欲はあるし、(だから、避妊具や薬が開発されてきた。)アンヌ(アナマリア・バルトロメイ)だけの責任じゃないよな、と考え直して鑑賞続行。
1960年代のフランスって、中絶が違法とされていた事も、初めて知った。
私は中絶は幾つかの条件を付けて”是”とする考えを持っている。
何故なら、罪なき命を亡くする行為には違いないが、望まない妊娠をして未来が変わってしまった女性達が現在、特に過去も含めて世界には、多数いるからである。今作でも言及されているが、無理な中絶をして、死に至ったり、生まれた子を遺棄したり・・。ー
◆感想
・アンヌを演じたアナマリア・バルトロメイの強い意志を感じる大きな眼とその目力が印象的である。美しく、白い肌も勿論であるが・・。
今作では、彼女の眼と目力に強く引き込まれた。
・アンヌが子を身籠った事が分かるシーンから、第一週~第一二週と章立てで物語は進む。
ー この構成が絶妙である。いつの間にか、アンヌが一人追い込まれて行く姿が、自分の心と被って行く・・。早く、早く何とかしないと・・。焦燥感が半端ない・・。-
・普通は、中絶シーンがある映画は、相手の男が付き添ったりするものだが、今作では父親の若き男は、当てにならず友もあてにはならない・・。時代的背景があるのだろうが、アンヌは正に孤立無援状態になっていくのである。
ー 故に、夢見る教師になるための勉強も疎かになっていく・・。見ていて、辛い。ー
■壮絶なのは、アンヌが自ら子を堕胎しようとするシーンである。
私は男なので良く分からないが、物凄く痛そうである。”除菌とか、そんなので、良いのか・・、”と心配してしまったし、闇の堕胎業の女性の部屋でのシーンも、物凄く痛そうである。傷みゆえに声を上げると、睨みつける堕胎業の女性の冷酷な目。
ビックリしたのは、彼女がトイレで子を堕胎するシーンである。
もう、痛そうで、可哀想で・・。手に汗を握りながら観ていたよ・・、自分がアンヌになったかのように・・。
それにしても、アンヌのど根性と、アンヌを演じたアナマリア・バルトロメイの覚悟を決めた姿は凄かった・・。
<ご存じの通り、今作は今年のノーベル文学賞の受賞が決まった、アニー・エルノーが、自身の中絶体験を題材にした私小説「事件」の映画化作品である。
中絶が違法とされた時代に、アンヌが、自由で自ら望んだ未来を手に入れるために命懸けで奔走し、独り孤独と恐怖と焦燥を抱えながら、突き進む姿を、アンヌの視点で赤裸々に描いた作品。
映画を観ていてその世界に没入する事は良くあるが、異性の視点でここまで我が事ながらの様に没入して観た作品は、初めてである。>
『これ、中2の姪に見せたいけど レイティングで引っかかったかな?...
『これ、中2の姪に見せたいけど
レイティングで引っかかったかな?』
と思って調べたら
誰でも見られる映画だったと知ってびっくり
中高生とかの性教育の題材として使ったら
真剣に受け止めて色々考えてくれそうな気がする
そういう意味で星4つ
12月9日追記
いつの間にか映画.com内のこの映画の表示が
G から 15+ に変わってました。
こっそり(?)訂正した模様。
やはりそうでしたか。
「3週目」「4週目」・・・
「3週目」「4週目」・・・と徐々に焦りを募らせるアンヌ(アナマリア・バルトロメイ)の心境を否が応でもキリキリ感じつつ、さらにあくまで(当時のフランスでは)刑法に反する「堕胎」ではなく「流産」するために危険を冒す「肉体的ダメージ」シーンに身体を強張らせ、演者と一緒になって身悶えながら観るという、土曜の朝8時10分から観るにはかなりヘビーな作品でしたが、こういう映画は「特に男性(である私)」こそ少しでも知るために「きちんと向き合うべき」作品だと思います。
医師ですら「選択肢はない」「諦めなさい」「巻き込まないでくれ」と取り合わず、親友のように付き合っていた女友達でさえ「自分事」のように考えられず距離を取り、さらには役に立たないばかりか弱みに付け込むような男性陣など、四面楚歌の中で時間だけが刻々と過ぎていき、そして徐々に変化していく自分の身体。その時間経過と状況変化を表現するシンプルながら見事に効果的な劇伴も、アンヌの焦りが観ている我々にシンクロしてくるようでとてもしんどくなります。(褒めています)
「妊娠中絶」、そもそも日本では表立って議論に挙げられることが目立つことはないですが(と言うか、私に届いていない、見つけようとしていないだけかもしれませんが)、「胎児の命・人権」という倫理のために女性だけが犠牲になること自体、そもそも倫理に反するとも考えられると思いつつ、まずは「知り」そして「考え」なければならないと、まことに当然で「超がつくほど」基本的なことを改めて考える一作でした。
「妊娠してます・・・」、「不公平!」これ一番言いたかった事かも
女性が人生で成功するのに多くの規制があった時代において、妊娠するという事はとてつもなく大きなハンデであったというのは理解できるが、その可能性をわかった上での行為であり、皆リスクを考え自制しているわけなので主人公には同情する事ができず、割と冷めた目で観てしまった。
避妊しなくても良い状態になり男友達とすぐに性交渉を持つ自由さは逆にリアリティがあってフランスっぽいと思った。
女性作家の原作で女性監督の演出だからでは無いと思うが、出てくる男達も皆容赦なく身勝手で情けなく描かれているのも良い。
3人組の一人の友達が経験済みだと告白した事で、一番遊んでそうな友達が実は一番保守的で奥手だと言うことがわかり、目の前で実演して見せたことへの滑稽さが後になりジワジワと際立ってくるという見せ方は面白かった。
やっかいなできもの
不公平…
懐妊を自覚した主人公の感情的であられもなく正直な言葉が印象的。
こうゆう理不尽を、どうにも受入れ難い主人公の奔走する姿がずっと痛々しい。
主人公の少女にとって今そこにある危機も、共犯者のパートナーはかたちでこそ寄り添ってはいるが結局は対岸の火事。
医者は当然見放す。友人も遠ざかる。親にも言えない。
少女はずっと気丈に振る舞ってはいるが、それが孤独を際立たせる。
全編かなり切り詰めたストイックな演出に溝口作品を思い出す
だからまだこんなことやってんの?と思えたし、
やっと今にしてこんな作品が出てこれたとも思えたし、、
ぽっと出の寮生に「排泄」を手伝わせるあたりとか、あえて物語的な作為をハズしたところに妙な生々しさを感じた。
良いのか悪いのか?
労多くしてやっかいなデキモノを排泄できたおかげで、この原作がありこの作品がある。
そうおもうといろいろ複雑
主婦になる病
堕胎が違法な60年代フランスで望まぬ妊娠をした教師志望の大学生の話。
フランス映画にありがちなシーンのブツ切りを繋いだ様なテンポの悪さで、「まだ生理が来ない」な3週からみせていくけれど、言う程機微みたいなものがあるわけでもないし、そうなったことへの後悔とか振り返りとか反省も無く、ただただどうしよう堕ろさなきゃ。
あぶったヤツは痛々しくてイ~ッ!!てなったけど、あんまり危機感とか切羽詰まった感じも無いし、終いにゃ今のうちにポンピエと!?
最後だけは流石にそれっぽくなったけれど、自分にはあまり面白いと思えるところがなかった。
予定外での経験がある女性ならもう少しハマるのかな…。
ヴェネチアで満場一致の最高賞
ヴェネチア国際映画祭にて、ポン・ジュノ率いる審査員が満場一致での最高賞!!
って事で、楽しみに待っていた作品です。
観てみて、なるほど、納得の出来。
最近、アメリカでの中絶の権利がニュースになってたけど、
中絶が禁止されていた1960年代のフランスを生きた、作家アニー・エルノーの実体験を映画化。
4か4.5で迷ったけど…
裸満載の体当たりの演技…
終わりまで続く、高い緊迫感…
時事にマッチし、深いメッセージ性を含む、映画内容…
100点満点で、85点~90点ぐらい。
2022ベスト10に入ります。
妊娠を経験する女性は同性として、深い共感を感じると思いますし、
痛みが分からず、加害者になりえる男性こそ(自分を含め)観るべき作品では?
下らなくない、すごく価値ある映画だと思います。
2022年の終わりに、すごい映画きた。
めちゃくちゃ痛い…
作中で誰一人「赤ちゃんが可哀想」と言わなかったのが、その時代を表しているように感じました。本当に赤ちゃんは、女性の社会進出において邪魔者(と思わせる社会)だったのでしょう。
妊娠出産子育てによって何かを諦めた人は、今も変わらず多いはず。中絶が良いか悪いかは置いておくとして、女性も男性も、もっと自由に生きられる日が来てほしいと思いました。
悍ましくもあり、身勝手でもあり。
墮胎を巡る、それぞれの国の考え方もあるだろうけど。
問題は堕胎か?
それ以前に、妊娠する行為を自らの意志でやったら、その責任はその人にあるでしょ。
女性の権利の問題じゃない。
自分の体が傷つくなら、自分の未来を棒に振るとわかってるなら、ほかにやりようもあったでしょ。
奔放にやりまくって、妊娠したら運が悪かった、それは違うよね?
身勝手としか言いようがなく、観ていて気持ちが悪くなるほどの嫌悪感と腹立たしさしかなかった。
堕胎せざるを得ない場合もあるだろうけど、アンヌの場合は、自分勝手な結末としか思えないんだけど。
二度と子どもを持とうなどと思うなと、あの臍の尾を切る勇気もないくせに。
今じゃない。
彼女のその身勝手なセリフに、腹が立って仕方ない。
12週の人の形ができつつあるこどもをなんだと思ってるんだろう。
大学に行かなくても、才能があれば作家にはなれるのでは?
命と引き換えにするほどの夢なのか、往生際の悪い女子学生の身勝手なストーリーにしか(ストーリーでもなく)思えなかった。
偶然の符合?
ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーの原作。最近『シンプルな情熱』というお洒落ポルノグラフィ映画を観た記憶がある。
テーマは望まぬ妊娠と、アンダーグラウンドな墮胎のお話。アメリカ映画では「17歳の瞳に映る世界」(2020年 エリザ・ヒットマン監督)で同様のテーマを取り扱い、ベルリン映画祭で銀熊賞を得ている。
本作はエルノーの自伝的な小説を原作とし、女性のオドレイ・ディワンが監督したもの。60年代の墮胎が非合法だったフランスが舞台だ。ヴェネチア映画祭で金獅子賞。欧州では、正面から墮胎と向き合う作品に、宗教的な原理も含めて、刺激されるのだろうか?ディテールは、女性監督ならではの部分もあるのだろ。
望まぬ妊娠
エリザ・ヒットマン監督の17歳の瞳に映る世界も堕胎の話だけど、雰囲気に流されやすく、受け身でまだ自分が何をしたいのかも分からずに妊娠してしまい戸惑う現代の少女を描いている。
こちらはアニー・エルノーの実体験を元にした1960年代、中絶が違法だった時代の
大学生の自分がどう生きるかの話になっている。
エルノーの強い意志を感じる力強い映画でした。
原作は事件
2022年11月20日
映画 #あのこと (2021年)鑑賞
中絶が禁止されていた1960年代フランス、望まぬ妊娠をした大学生は夢を諦めきれずに·····
女性を取り巻く明らかな鎖のひとつが妊娠なんだと痛感
リアルすぎる描写に一時も目が離せませんでした
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
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