劇場公開日 2022年12月2日

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「「3週目」「4週目」・・・」あのこと TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「3週目」「4週目」・・・

2022年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「3週目」「4週目」・・・と徐々に焦りを募らせるアンヌ(アナマリア・バルトロメイ)の心境を否が応でもキリキリ感じつつ、さらにあくまで(当時のフランスでは)刑法に反する「堕胎」ではなく「流産」するために危険を冒す「肉体的ダメージ」シーンに身体を強張らせ、演者と一緒になって身悶えながら観るという、土曜の朝8時10分から観るにはかなりヘビーな作品でしたが、こういう映画は「特に男性(である私)」こそ少しでも知るために「きちんと向き合うべき」作品だと思います。
医師ですら「選択肢はない」「諦めなさい」「巻き込まないでくれ」と取り合わず、親友のように付き合っていた女友達でさえ「自分事」のように考えられず距離を取り、さらには役に立たないばかりか弱みに付け込むような男性陣など、四面楚歌の中で時間だけが刻々と過ぎていき、そして徐々に変化していく自分の身体。その時間経過と状況変化を表現するシンプルながら見事に効果的な劇伴も、アンヌの焦りが観ている我々にシンクロしてくるようでとてもしんどくなります。(褒めています)
「妊娠中絶」、そもそも日本では表立って議論に挙げられることが目立つことはないですが(と言うか、私に届いていない、見つけようとしていないだけかもしれませんが)、「胎児の命・人権」という倫理のために女性だけが犠牲になること自体、そもそも倫理に反するとも考えられると思いつつ、まずは「知り」そして「考え」なければならないと、まことに当然で「超がつくほど」基本的なことを改めて考える一作でした。

TWDera