劇場公開日 2022年12月2日

  • 予告編を見る

「望まない妊娠は救済されるべきか?」あのこと ぽてちさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0望まない妊娠は救済されるべきか?

2022年12月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

本年度のノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーが、自らの体験を基に書いた小説『事件』を原作とする映画。中絶が法律により禁じられていた1960年代のフランスを舞台に、望まぬ妊娠をしてしまった女子大生が送る先の見えない日々を描いた作品だ。
原作でもかなりショッキングな場面が多々あり、映画は見送ろうかなと思っていたが、いやあ観てよかった。
女性のみが妊娠できるという当たり前の事実が、ある人達にとっては陥穽となること、中絶という最後の選択肢を取り上げられてしまった残酷さ、男という生き物のどうしようもない愚かさがこれでもかと晒される。
アメリカでは中絶問題でまた国が真っ二つに割れ、中絶は認められているものの薬物は禁止という我が国のような例もあり、なかなか一筋縄ではいかないようだ。
ホラーよりもよっぽどこわいシーンもあり万人には薦めないが、観て、感じて、考えてほしい映画だった。

ぽてち